脳卒中後にしゃべれない!何を話しているか分からない!失語症とは?そのとき家族はどうする?

   

脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)の後遺症には、嚥下障害だけではなく他の後遺症も合わせ持つことがあります。

ここでは「しゃべれない」「何を話しているか分からない」失語症について取り上げます。

失語症はその症状から誤解を受けることがあります。

失語症について正しく理解して、接することが一番大切です。

 

 

失語症とは

私たちは言葉を聞いたり、読んだり、話したり、書いたりすることができます。

その言葉の4つの機能すべてに大なり小なり障害が出る状態のことを失語症と言います。

ほとんどの場合、左半球に言語野があり、その言語野で疾患が起こることで失語症になります。

右半身に麻痺を合わせ持つ方が多いです。

まれに右半球に言語野を持つ人もおり、そこで障害がおこると失語症が出ます(交叉性失語)。

その場合は左半身麻痺を合併します。

失語症は4つの機能それぞれの障害の度合いによって、タイプ分類されます。

ここでは大きく2つ取り上げます。

 

分かっているけど、言葉が出てこないブローカ失語

聞くこと・読むことよりも、話すこと・書くことが低下する状態です。

相手が話していることは分かっています。

自分が話そうとしていることも分かっています。

しかし、それを言葉としてどう組み合わせて、どう口を動かしたらいいのか分からないのです。

話すということにとても時間がかかってしまうため、なかなか思いが伝わらず患者さんにとってはとてもストレスのたまる状態になります。

 

ペラペラしゃべっているけど何を言っているのかさっぱり?ウェルニッケ失語

失語症というと、しゃべれない人をイメージすることも多いと思いますが、実はペラペラしゃべることのできる失語症の方もいます。

しかし、しゃべっている内容は全然分かりません。

こちらが話しかける内容を理解することも難しくなります。

ウェルニッケ失語の中枢は手足の運動野とは少し離れているため、手足の麻痺のない方が多いです。

日常生活のことはすべて自分でできるため、見た目は健康な人と何ら変わりがありません。

でも話すと、訳の分からないことを言うので、失語症という症状を知らない方がみると、ぼけてしまった、認知症になってしまったと誤解を受けることがよくあります。

本人は自分のしゃべっていることも聞いて理解することができないので、自分がどうして入院しているのか、点滴をしているのかが分からないこともあります。

 

その他

失語症を代表する2つのタイプを紹介しましたが、実際には8つのタイプに分類されます。

しかし、ほとんどの失語症がタイプ分類できない「非定形」の失語症であることが多いです。

言語聴覚士は、それぞれの失語症の患者さんの聞く・読む・話す・書くについて詳しく調べ、その状態に合わせてリハビリを行っていきます。

 

 

構音障害との違い

構音障害呂律が回らない、しゃべりにくいという発音の障害です。

それに対して失語症は、言葉そのものが思い出せない、言いたいことが頭の中にあるのに、言葉が出てこない、言い間違いをしてしまう、という症状が特徴的な障害です。

しかし現実には、失語症と構音障害は合併することもあります。

合併した場合にはどちらにも障害にも対応するようにリハビリプログラムを作ります。

構音障害についてはこちらの記事も合わせてお読みください

▶関連記事 脳卒中後の構音障害とは?

 

嚥下障害への影響

失語症そのものが嚥下障害に影響することは少ないです。

ことばで「お食事ですよ」ということが伝わらなくても、目の前に食事が出されれば、食事だということは理解されますし、食べることもできます。

ただ、利き手が右手の場合、そちらに麻痺があると箸やスプーンを使うことが困難となるので、左手で使えるように練習する必要があります。(利き手交換)

 

 

 

家族はどうしたらいい?コミュニケーションの仕方

失語症になると、それを見守る家族の方もとても戸惑われます。

患者さん本人も、言いたいことが伝わらないもどかしさでストレスを感じますが、その思いをくみ取ってあげられない家族もとても歯がゆい思いをされます。

まずは、YesかNoかで答えられる質問で、ゆっくり、分かりやすくたずねるようにしましょう。

患者さん本人からの訴えが分からない場合には、

  • トイレに行きたいか
  • どこか痛みがあるのか

をまず、確認します。

そのあとは、身近なものから確認していきます。

  • 布団をかけてほしい
  • お茶が飲みたい
  • カーテン(窓)をしめてほしい など

実物を見せながら、1回に一つずつ聞いていきます。

とても時間がかかります。

そのうちに、患者さん本人も疲れてきて、答えが矛盾して何が言いたいのか分からなくなることもあります。

脳がまだ言葉に対して対応しきれないため、疲れやすいのです。

こういった場合は、一度休息を入れた方がよいです。

 

どうしてもわからない場合

失語症を専門的に診る言語聴覚士ですが、実際に患者さんとコミュニケーションする場合は、やはり分からないことが多くあります。

その場合、私はどうしているかというと、「ごめんなさい。わかりません。」と素直に伝えます。

分かったふりをしても、ふりだということに患者さん本人は気づいています。

そして、患者さんは傷つきます。

信頼関係を損ねないためにも、分かったふりはせず、分からないということを素直に伝えるようにしています。

 

家族でできること

第3者である言語聴覚士やその他のスタッフよりも、家族の方がその患者さんのことをよく知っていらっしゃり、私たちには分からないことも家族には伝わることも多くあります。

「ことばで伝える」ということに期待をせず、「気持ちを汲み取る」という姿勢で接するようにすると患者さんのいいたいことが少しは分かるのかもしれません。

患者さんにとっては、自分のことを理解しようとしてくれている人がいる、というだけでも大きな支えになります。

 

 


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