老人性難聴も認知症のリスク要因。でも補聴器をつけることを嫌がる本人。家族としてできることは?

      2017/08/03

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2017年7月にロンドンで行われたアルツハイマー国際会議(AAIC)において、認知症の9つのリスク要因が示されました。

▶詳しくはこちらの記事をお読みください。2017年最新研究発表 認知症予防には9つのリスク要因に今すぐ対処せよ

その9つの中で難聴もリスク要因に含まれていました。

加齢に伴って、聴力も低下するのが老人性難聴です。

ここではその老人性難聴について詳しくお伝えするとともに、難聴を予防する方法や補聴器について、また難聴者に対する家族の対応の仕方を考えたいと思います。

 

 

老人性難聴とは

加齢に伴って聴力が低下するのが老人性難聴です。

聴力が低下する原因が他になく、加齢以外には原因が考えられない場合、老人性難聴と診断されます。

現在のところは、治療法はなく、補聴器で聞こえを補う方法がとられます。

 

老人性難聴の特徴は

 

  • 聴力検査の結果、両耳とも同じような聴力低下を示す
  • 周波数の高い音から聞こえなくなる
  • リクルートメント現象陽性

 

 の3つがあります。

 

特徴から分かる老人性難聴の聞こえ方

特徴の2番目、周波数の高い音から聞こえなくなるというのは、どういうことなのでしょうか?

子音というのは、日本語の音の中でいうと、かな文字ひとつの音を子音と母音に分解した時の始めの部分になります。

「さ」 → /sa/ →  /s /子音 + /a/ 母音

 

子音の部分が聞き取りにくいということは、音の聞き分けがしにくくなるということです。

極端に言うと、母音が共通な「さ」、「か」、「た」、「ぱ」などの音の聞き分けがしにくくなるということです。

 

実際に老人性難聴の方はこんな風に聞こえているようです。

 

このような特徴があるために老人性難聴の方は、

音が小さくしか聞こえないのではなくて、ことばがはっきりと聞こえないのです。

 

逆に、ぼそぼそ声は小さくても聞き取れることがあります。

また、自分が良く知っていることについては、ニュアンスで理解されることもあります。

よく、憎まれ口で、「悪口だけは聞こえている」なんていうこともあるかもしれませんが、聞こえないと思って、低い声でぼそぼそと悪口を言うと実は聞こえていることもあるので、注意が必要ですよ。

 

補聴器をつけたがらないのはなぜ?

老人性難聴の特徴の3つ目、リクルートメント現象陽性が影響しています。

リクルートメント現象とは、小さい音は聞こえないが、大きな音は通常聞こえているよりも大きく聞こえる現象のことをいいます。

補聴器というのは、小さい音を大きくする役割しか果たしません。

なので、ことばがはっきりしないままボリュームだけ大きくなっても、聞き取りやすくなるとは限らないのです。

さらにリクルートメント現象が陽性だと、音を大きくしたことによって、逆にうるさく感じられることもあるのです。

補聴器は耳に入ってくる音全ての音量を上げてしまうので、ことばだけではなく、普段何気なく聞こえている環境音も大きく入ってきます。

聞きたい音や言葉だけではなく、周りの騒音も大きくなって耳に入ってくるので、ざわざわとうるさく感じてしまうかも知れません。

補聴器は精密機械で、ものすごく高価なものですが、このような理由があるため、せっかく作った補聴器が使われないままになるのも良くある話です。

 

老人性難聴の世界

例えば、ことばの分からない国で5~6人でテーブルを囲んで食事をするところを想像してみてください。

自分一人だけ会話の内容が分からないとき、あなたはどんなふうに感じるでしょうか?

 

例えば、自分を元気づけてくれるような音楽や、自然の中の鳥や虫の音が聞こえない世界を想像してみてください。

 

例えば、相手の話が聞き取れなくて、聞き返したとき、相手ががっかりした顔をされたらどんなふうに感じるか、想像してみてください。

 

例えば、以前はちゃんと聞こえていたのに、だんだん聞こえなくなってきたと気づいたとき、どんなふうに感じるか想像してみてください。

 

老人性難聴の世界はとても孤独で不安なものになると思いませんか?

その孤独感や不安、ストレスなどが難聴をすすめてしまい、さらには認知症を進行させてしまうことがあるのです。

 

難聴を防ぐ方法

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動脈硬化を防いで耳の血流をよくする

耳の奥にはカタツムリの殻のような「蝸牛(かぎゅう)」と呼ばれる部分があり、その中の有毛細胞という細胞が音の振動を電気信号に変えて脳に伝える働きをします。

らせん状に巻いている蝸牛を引き延ばすと約35㎜。

そんな小さい中に入っている有毛細胞にも血液が行き届いています。

動脈硬化になってしまうと、その細い血管に血液が行き届きにくくなり、有毛細胞が壊死してしまい難聴を引き起こしやすくなります。

▶動脈硬化についてはこちらの記事をお読みください     動脈硬化の原因は?予防は血管のアンチエイジング

 

大きな音を避ける

常に大きな音に曝される環境では、難聴になりやすいと言われます。

また、ヘッドホンなどをつかって大音量で聞くことも避けた方がよいです。

 

家族の対応法

難聴の程度がまだ軽いうちであれば、補聴器でボリュームを上げることで効果がある場合があります。

毎年の健康診断で定期的に聴力検査があると良いですが、老人性難聴の場合は、本人も認めたがらないところもあり、早めの検査や、補聴器の装用に至らないのが現状だと思います。

その人の聞こえは、その人にしか分からないため、本人が補聴器を嫌がるのであれば、無理に装用を勧めることは難しいと思います。

ただ、その際に「耳が聞こえなくなってくると、認知症にもなりやすい」ことを一言付け加えると、もしかすると考えが変わって補聴器をつけることに前向きになるかも知れません。

 

話し方の工夫

耳が遠い高齢者に対して、話す側が少し配慮することでコミュニケーションがスムーズにいくこともあります。

真正面に立ち、相手に口元を見せながら はっきり、くっきり、ゆっくりと話してください。

あまり大きな声で話す必要はありません。

音だけではなく、口の形を見せることで伝わりやすくなると思います。

高い声よりは少し落ち着いた声のほうが聞こえやすいようです。

また、1対1の会話は分かりやすいですが、輪になって話すようなときは一人だけ話題についていけないことがあります。

何のことについて話しているのか、少しフォローするだけでも孤独感が和らぐのではないかと思います。

 

手話はおぼえたほうがいいの?

聴覚障碍者が使う手段として手話がありますが、手話で実際に話すとなると、本人も家族も手話を1から覚えなくてはなりません。

高齢者にとって新しい言語手段として手話を獲得することはかなり厳しいと思います。

お互いにとって意味の通じるジェスチャーは利用することは有効だと思います。

 

 

まとめ

難聴というと、全く音が聞こえない人と誤解されることがあるようです。

老人性難聴の方は、音は聞こえています。

ことばとして聞き取りにくくなっている、ということを理解すると、「老人の地獄耳」も納得がいくのではないでしょうか。

私の祖母も、晩年は耳が遠くて、元々話好きだったのですが、だんだん話したがらなくなり、とても寂しそうな表情を時々していました。

離れて住んでいたので、なかなか会うことができませんでしたが、「はっきり、くっきり、ゆっくり、口元を見せながら話す」ことで、ちゃんと会話が成立し、一緒に暮らしている伯父、伯母がとても驚いていたのを覚えています。

そのときの祖母の嬉しそうな顔は今でも忘れられません。

耳の遠い方が、寂しい思いをできるだけしないで済みますように。

 

 

 
☆この記事は以下の資料を参照して作成しました。
 
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