言語聴覚士とは?仕事の内容と活躍する場所。どんな人が向いているの?

突然ですが、言語聴覚士って どんな仕事をするのか知っていますか?

 

ごくごく簡単に説明すると、「ことばと飲みこみのリハビリ」を仕事にする職業です。

 

つばめは言語聴覚士として病院に勤務しています。
職業を問われた時に、「言語聴覚士」と言って通じる人は少ないです。
患者さんやそのご家族にも、「こんな仕事があるんだねぇ」と言われることが多いです。

 

このように、まだまだ知名度の低い言語聴覚士について、皆さんに知って頂きたいと思い、この記事では少し詳しく説明してみたいと思います。

 

この記事を読むと次の事が分かります。

・言語聴覚士の仕事の内容
・言語聴覚士になる方法
・言語聴覚士が活躍する場所
・(つばめが考える)言語聴覚士に向いている人

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言語聴覚士とは

 

第二条 この法律で「言語聴覚士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう。

引用元:言語聴覚士法

 

同じリハビリテーションの専門職である理学療法士・作業療法士法(1965年制定)に比べて、30年以上も遅い1997年に言語聴覚士法が制定され、国家資格になりました。

 

言語聴覚士は英語ではSpeech Therapist(場合によってはSpeech Language pathologist、Speech Hearing Therapist)と表記され、STと略されます。

 

しかし、言語聴覚士法の条文だけ見てみても、ことばが難しくてよく分かりませんね。
この記事では少し別の切り口から言語聴覚士という仕事を説明したいと思います。

 

言語聴覚士の仕事

言語聴覚士について情報を得たい場合には、言語聴覚士協会のホームページなどさまざまなホームページを見るとよく分かると思います。

言語聴覚士協会HP

 

言語聴覚士の仕事について、このブログでは少し変わった切り口で説明したいと思います。

私たち言語聴覚士が必ず学び、そして臨床をする上で必須となる「スピーチチェーン~ことばの鎖」という考え方を紹介しながら、私たちの仕事の中身をご紹介したいと思います。

スピーチチェーン~ことばの鎖

言語聴覚士になるためには、スピーチチェーン~ことばの鎖をしっかりと理解しなければなりません。 スピーチチェーンとは、私たちがことばを話すとき、聞くときに体の中で起こっていることを段階ごとに示したものです。

 

簡単に図示するとこんな風になります。

 
 

話し手が相手に伝えたいことば「リンゴ」をイメージとして思い浮かべる

   

肺から呼気が出て、声帯を震わせ、唇や舌を動かして「リンゴ」という音声が出る

   

音声が音波にのって聞き手の耳に届く

   

聞き手の耳の鼓膜が震え、その刺激が聴覚神経を刺激し大脳に情報が届く

   

聴覚神経から届いた情報を分析し「リンゴ」と理解する。

実際にはもう少し細かく見ていく必要がありますが、ここでは分かりやすく説明するために詳細は割愛しています。
今、言語聴覚士を目指して勉強されている学生さんは、もう少し詳しく理解する必要があります。スピーチチェーンは言語聴覚士にとっての基本中の基本なのでしっかり押さえてくださいね。

 

このスピーチチェーンが病気やケガなどで途切れてしまうことがあります。
その時起きるのがコミュニケーション障害です。

 

例えば①~⑤がそれぞれ障害を受けたときには次のような障害が起こります。

ことばが思い出せない → 失語症

 

失語症についてはこちらをご確認ください

ことばが発音できない → 構音障害

 

構音障害についてはこちらをご確認ください。

ことば(音)が聞こえない → 難聴

 

高齢者の難聴についての記事ですが参考にしてください。

ことばが理解できない → 失語症

 

失語症についてはこちらをご確認ください

ことばに障害があるということは、このスピーチチェーンのどこかが途切れてしまっていることになります。

言語聴覚士の仕事は、ことばがしゃべれない患者さんのどこに問題点があるのかを見つけること、つまりスピーチチェーンのどの部分が切れているのかを見極めることから始まります。
これを評価と言います。

この評価をもとに、目標を定め、訓練プログラムを立案し実際にリハビリを行います。

評価がしっかりできるか否かでその後の訓練プログラムやリハビリが大きく変わってきます。
そういう意味でもスピーチチェーンをしっかり理解することがとても重要になってきます。

 

 

さらに、言語聴覚士の守備範囲のメインは言語障害ですが、言語聴覚士の診る範囲は「ことば」だけにとどまりません。

脳の機能をもっと詳しく見ることも・・・

脳の機能には、手や足を動かしたり、見る、聴くなどの5つの感覚を受け取る「一次機能」その他の機能の「高次機能」の2種類に分けられます。
ことばは「高次機能」に入ります。
高次機能には他に記憶や注意 、思考などがあり、ことば同様障害されると日常生活に大きな支障をきたします。

言語聴覚士はことばを専門的に診る関係で、「高次機能」全般にも精通していなければなりません。
「高次機能」が障害を受けた状態である「高次脳機能障害」にも言語聴覚士は深くかかわります。

脳の機能が徐々に衰えていく「認知症」も高次脳機能障害に含むと考える専門家もおり、認知症のリハビリも言語聴覚士の仕事の一環になります。

 

難しい「高次脳機能障害」についてできるだけ分かりやすくまとめました。

 

認知症についてはこちらの記事にまとめました。

 

しゃべるところと飲み込むところは一緒

スピーチチェーンから外れるのですが、ことばをしゃべるために使う器官と食べ物を食べたり、飲んだりするのに使う器官は同じです。
専門用語では飲みこむことを「嚥下(えんげ)」といいます。
食べたり、飲んだりすることができなくなる「摂食・嚥下障害」も言語聴覚士が担当する分野です。

 

摂食・嚥下障害についてはこちらにまとめました。

 

 

生まれたばかりの赤ん坊からお年寄りまで

言語聴覚士が担当する対象者は生まれたばかりの赤ん坊からお年寄りまで、コミュニケーション障害や嚥下障害があれば診ます。
生まれたばかりの赤ん坊も?と思われるかもしれませんが、唇や上あごがしっかり閉じることなく生まれてくる「口唇口蓋裂」の場合は、出生直後から言語聴覚士が関わります。
その他先天的に耳が聞こえない場合、ことばの発達が遅い場合などは、その後の言語獲得が変わってくるのでできるだけ早い段階から言語聴覚士が関わる必要があります。
成人で多いのは脳卒中や交通事故などで脳損傷を負った方、高齢者になると飲みこみの力が弱くなることによって起こりやすい誤嚥性肺炎の方が多くなります。

 

言語聴覚士の「守備範囲」がものすごく広いことがお分かりいただけたでしょうか?

次は言語聴覚士になるためにはどうしたらよいのかについてみていきたいと思います。

 

 

言語聴覚士になるためには

言語聴覚士になるためには、法律に定められた教育課程を学ぶことができる養成校(大学、短大、専修学校)を卒業し、国家試験に合格しなければなりません。

(引用元:日本言語聴覚士協会HP

 

私つばめの場合は、全く別分野の4年制大学を卒業した後、言語聴覚士を養成する専門学校(2年制)に入学しました。
言語聴覚士の専門分野の勉強だけではなく、医学、言語学、心理学、音響学など幅広い分野を学びます。
そして現場での臨床実習も必須となっています。

 

つばめの詳しい経歴はこちら

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言語聴覚士が活躍する場所

医療施設

病院・診療所・クリニックなど  (リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、口腔外科、形成外科、神経内科、小児科、歯科、心療内科、精神科など)

福祉施設

障害児通園施設(小児・成人)

介護施設

老人介護福祉施設(老健) 特別養護老人ホーム(特養)

保健機関

保健所

教育機関

ことばの教室 難聴教室など

養成機関

言語聴覚士養成校(大学・専門学校)

その他

研究機関 医療機器メーカー 各自治体

このなかでは一番医療機関に勤務する言語聴覚士が多いです。
しかし一口に医療機関といっても、それぞれ専門により、さまざまな診療科に属しています。

 

つばめの場合は以前、総合病院のリハビリテーション科に勤務していました。
そこでは、脳神経外科はもちろん、内科や外科など診療科に関わらず言語障害、摂食嚥下障害の患者さんがいればどんな患者さんでも診ていました。
救急医療センターも兼ね備えた病院だったため、必要があればHCU(集中治療室)での治療中からリハビリに入ったこともあります。
また同じ系列で老健もあったため、ことばのリハビリの必要な方がいた場合には老健の入所者さんのリハビリも行いました。

同じ言語聴覚士でも、働く職場の性質によって、実際の働き方はだいぶ変わってきます。

 

 

どんな人が言語聴覚士に向いているか?

どんな人が言語聴覚士に向いているか、なんて言えるほど自分が言語聴覚士に向いているとは思ってはいませんが、1つだけ感じていることがあります。

専門学校で学んでいた時に先生から言われた言葉で忘れられない言葉があります。

それは

「ST(言語聴覚士)たるもの幸せであれ」

という言葉です。

当時はまだ若かったのもあって、あまりその意味が理解できませんでした。
でも、今となっては何となく分かるような気がするのです。

 

言語聴覚士の目の前に現れる患者さんは、自分よりも心も体もダメージを受けています。
その患者さんと接し、リハビリをしていくということは、ものすごくエネルギーを使うことになります
自分が幸せで、健康で、余裕がないと、本当の意味で患者さんに優しくなれないのです。
医療の道を志す方に多いのが、人のためという気持ちが強く、自分を犠牲にしてしまう人
もちろん患者さんのためという気持ちは大切ですが、自分を守る強さも持っている必要があるのではないかとつくづく思っています。

 

まとめ

  • 1997年(平成9年)に国家資格になりました
  • 現在は31,233名の有資格者がいます。(2018年3月時点 日本言語聴覚士協会)
  • 理学療法士、作業療法士と並ぶリハビリテーションの専門職です。
  • 英語ではSpeech Hearing Therapist。 略してSTと呼ばれることもあります。
  • コミュニケーション障害のある方を対象に生まれたばかりの赤ん坊からお年寄りまで、リハビリテーションを行います。
  • 言語聴覚士のいる現場は医療、福祉・介護だけにとどまらず、教育現場や言語聴覚士の養成機関、各種医療機器メーカーなどで活躍している人もいます。

 

 

 

 

 

 

 

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