コレステロール値が高くなる原因は?脂質異常症を見逃さないデータの見方も

私つばめは一昔前、健康診断でコレステロール値が高いと判定されました。
そこで同僚の管理栄養士に相談したところ、
 
「卵、食べすぎでは?」
 
と指摘されました。
 
ひとり暮らしをはじめて間もないころで、仕事(も遊び)も忙しく、自炊する時間がなかったころでした。
卵は栄養満点だし、手っ取り早く料理もできるのでよく食べていました。
 
そのころは卵は、コレステロールを上げる原因になると言われていました。
 
 
しかし2013年アメリカで、卵をはじめ、食べ物から摂るコレステロール量が血液中のコレステロール値に影響を与えるという科学的根拠がはっきりしないと発表されました。
 
つまり、コレステロールが多く含まれるものを食べても、コレステロールに影響はないということです。
 
 
 
卵を控えていた私は何だったんだろう…
 
 
 
でも、ここで疑問が生まれます。
 
それでは、コレステロールが高くなる原因はいったい何?
 
その疑問を紐解くために、
コレステロールとはいったい何なのか、
コレステロールの役割や善玉、悪玉と言われる本当のところをまとめてみました。
 
この記事を読めば、
 
なぜコレステロールが高くなるのか?
 
その原因口から食べるコレステロールではなく、コレステロールと深い関係にある血糖値と中性脂肪にあるということが
お分かりいただけると思います。
 
脂質異常症を見落とさないための、血液検査のコレステロール値のデータの見方もお伝えしたいと思います。
 
尚、この記事はかなりの長文です。
具体的に「どういう食事をしたらよいのか?」をお知りになりたい場合は、こちらの記事をお読みください。
 

 
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体の中で重要な役割を果たす脂質の一つです。
コレステロールの役割には次のものがあります。
 

コレステロールの役割

 

1 細胞膜をつくる
2 脳、脳神経をつくる
3 ホルモンの原料となる
4 胆汁酸の原料となる

 

1 細胞膜をつくる

 
人の体に60兆個あると言われている細胞の細胞膜をつくっているのが、たんぱく質、リン脂質とコレステロールです。
細胞膜は外と中を分ける役割だけではなく、必要なものを取り込み、不要なものを出すことができるようになっています。
コレステロールは物質を出入りさせる流動性を調整する働きがあります。
 

2 脳・脳神経をつくる

脳神経細胞はこんな形をしています。

長い神経線維はコレステロールでできたミエリンで覆われています。
このミエリンは所々途切れています。
 
この途切れたところをランビエ絞輪と言います。
 
シナプスで受けた信号を長い神経線維を通じて次のシナプスへ伝えるのですが、信号はランビエ絞輪を飛び飛びに伝わります
 
そのため情報を早く伝えることができます。
 
もしミエリンがないと信号の伝わる速度がゆっくりになってしまいます。
 
コレステロールは脳の情報伝達にはかかせないものなのです。
 

3 ホルモンの原料となる

 
ホルモンは体のある器官からある器官へ出されるメッセージ物質です。
そのメッセージは体全体に送られますが、受け取ることのできた器官だけが働きだします。
 
ホルモンというメッセージ物質があることで、私たちの生命活動が維持されており、欠かせないものです。
 
コレステロールから作られるホルモンには、副腎皮質ホルモンや、アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロンなどがあります。
 

4 胆汁酸の原料となる

 
胆汁酸は肝臓でコレステロールを元に作られます。
糖質、タンパク質、脂肪のうち、糖質とタンパク質は消化液で消化、分解されますが、脂肪は水に溶けないため消化液で分解できません。
胆汁酸は小腸で分泌され、脂肪を水に溶けやすくし、消化酵素リパーゼを活性化させ、脂肪の消化吸収を助ける役割を果たします。
 
 
 
このように、コレステロールは私たちの身体の中でとても大切な役割を果たしています。
 
これだけ大切な役割を果たしているコレステロールが不足しないように、約7割は肝臓で合成されます。
食べ物から摂るコレステロールは約3割に過ぎません。
 
そして、食べ物からとるコレステロールが多ければ、体内で合成される量を減らすように調整されます。
多すぎれば、そのまま排出されます。
 
食べ物からとるコレステロール量に関わらず、体内ではコレステロールを一定に保つメカニズムがあるのです。
 
 
 
 

悪玉・善玉というけれど、本当のところは?

 
コレステロールは血流にのって体の隅々まで運ばれますが、そのままの状態では血液に溶け込むことができません。
コレステロールはタンパク質とくっついてリポたんぱく質という形で血液のなかに溶け込んでいます。
 
 
コレステロールの中でも、タンパク質の密度が高いコレステロールのことをHDLコレステロールと言います。
これがいわゆる善玉コレステロールと呼ばれるものです。
HDL(善玉)コレステロール体のあちこちで余ったコレステロールを回収して肝臓に戻す役割を果たします。
 
 
逆にたんぱく質の密度が低いコレステロールのことをLDLコレステロールといいます。
こちらが悪玉コレステロールです。
LDL(悪玉)コレステロール肝臓から体の各所へコレステロールを運ぶ役割を果たします。
 
 
 
血液中にHDL(善玉)コレステロールと、LDL(悪玉)コレステロールがバランスよくあれば何も問題は起こりません。
 
問題は、そのバランスが崩れてしまったときに起きるのです。
 

 LDL(悪玉)コレステロールが本当に悪者になる時

 
LDLコレステロールが本当に悪者になってしまうことがあります。
 

1 酸化した時

2 糖化した時

 

1酸化した時

 
酸化とは活性酸素と結びついて、錆びてしまうこと。
空気中の酸素に触れることで起きます。
 
何らかの原因(後ほど説明します)でLDL(悪玉)コレステロールが増えすぎて、HDL(善玉)コレステロールが回収しきれない状態が起こると、余っているLDLコレステロールは血管の壁にくっついて侵入します。
 
血管壁に侵入すると、酸化LDLとなります。
 
白血球の仲間マクロファージ酸化LDLを異物と判断し食べてしまいますが、マクロファージはコレステロールを分解することができません。
 
マクロファージは泡沫細胞という細胞に変化して、血管壁の内部にプラークというコブを作ります。
 
 
①~④が繰り返し起こると、 
血管壁に血管をふさぐほどのプラークが溜まり動脈硬化となります。
 

2 糖化したとき

 
LDLコレステロールが血液中の糖と結びついたとき、糖化LDL(AGE-LDL)となります。
 
②~③
糖化LDLが血管壁にこびりつき、侵入します。
 
マクロファージに異物と判断され食べられてしまいますが、 酸化LDLと同様コレステロールを分解することはできません。
 
結果的に、泡沫細胞となって血管壁にこびりつき、プラークを形成。
動脈硬化をつくります。
 
LDL(悪玉)コレステロールが増える原因は?
血液中に糖が多い高血糖の場合、LDL(悪玉)コレステロール糖化LDLになりやすくなります。
 LDLコレステロールが糖化すると、細胞へコレステロールを受け渡しすることが上手くできなくなってしまいます。
細胞がコレステロールを必要としているのに、届いていないため、肝臓は引き続きコレステロールを送り出します。
その結果、血管内にLDL(悪玉)コレステロールがどんどん増えてしまうのです。
 
LDL(悪玉)コレステロールを増やす原因の一つは、高血糖です。
 
 
 

超悪玉?レムナントコレステロール

動脈硬化は、LDLコレステロールが原因と言われていましたが、さらにレムナントコレステロールというコレステロールが原因となっていることが最近の研究で明らかになってきたようです。
 
ためしてガッテンでも取り上げられていました。
http://www9.nhk.or.jp/gatten/
 
コレステロールと同様に脂質の仲間として中性脂肪があります。
中性脂肪は、糖質、タンパク質、脂質の余った分をいざというときに使えるように貯蔵しておいたエネルギーの元です。
 
この中性脂肪もコレステロールと同様、水に溶けないため、タンパク質とくっついて血液中を流れます。
このくっついたものはリポたんぱくと呼ばれていましたね。
リポたんぱくにはHDL、LDLを含めて4種類あります。
 
HDL(善玉)コレステロール
  …たんばく質の割合が多い(コレステロールが少ない) 
LDL(悪玉)コレステロール
  …たんぱく質の割合が低い(コレステロールが多い)
VLDLコレステロール…中性脂肪が多い
カイロミクロン…中性脂肪が多い
 
カイロミクロンとVLDLは主に中性脂肪を運ぶ役割を果たします。
体の各部へ運ばれると、リポたんぱくリパーゼという酵素によって中性脂肪が分離されます。
中性脂肪が分離された後のリポたんぱくのことをレムナントと言います。
レムナントは「残り物」という意味です。
 
通常はレムナントはすぐに代謝されて、肝臓にもどりますが、リポたんぱくリパーゼの働きが悪いと、血液中に長くとどまります。
 
このレムナントはとても小さくLDL(悪玉)コレステロールよりも血管壁に侵入しやすいためたちが悪いのです。
 
リポたんぱくリパーゼインスリンというホルモンによって活性化します。
逆に言うと、インスリンの分泌が低下していたり、インスリンが効きにくい状態だと、リポたんぱくリパーゼは働きにくくなってしまうのです。
インスリンは中性脂肪が溜まっている状態になると、効きにくくなります。
 
つまり、
中性脂肪がたまっている状態や、糖尿病があると、レムナントコレステロールが血液中に残りやすくなり動脈硬化をひきおこしやすくなります。
 
 
インスリンや糖尿病についてはこちらの記事をお読みください。
 
 
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コレステロール値の見方

 脂質異常症の基準値

このように動脈硬化の原因となるコレステロールは、多すぎる状態も問題ですが、体にはなくてはならないものでもあるので少なすぎても問題となります。
 
以前は高脂血症と呼ばれていましたが、高くても低くても問題なので脂質異常症という呼び方で統一されています。
 
基準値は以下のようになっています。(空腹での採血時)
 
参考: 
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」
 
健康診断での血液検査では、この3つの数値が高いか低いかで判定されますが、それだけでは見落とされてしまう場合があります。
健康診断の結果が出たら、次の2つも計算して、コレステロール値に異常はないか確認することをおすすめします。

LDLとHDLのバランス

LDLコレステロールとHDLコレステロールの量のバランスが崩れ、LDLコレステロールが増えすぎてしまうと、酸化LDLや糖化LDLになってしまいます。
LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスを見るの指標として、LH比があります。
 
引用: 
 

non-HDLコレステロール値 

LDLコレステロールだけではなく、超悪玉のレムナントコレステロールの量も計算で出すことができます。 
引用:
ためしてガッテン
 
 
 

まとめ

  • コレステロールには生命活動をするうえで非常に大切な役割があります。そのため、体内で不足しないようコレステロールの約7割は体内で合成され、常に一定の量が保たれるような仕組みがあります。
  • コレステロールは、LDL(悪玉)コレステロールが酸化したり、糖化することで血管壁にこびりつき、動脈硬化を引き起こす誘因となります。
  • さらに、中性脂肪を運んだ残骸であるレムナントコレステロールも血管壁に侵入し動脈硬化を引き起こします。
  • 血液検査のコレステロール値は、LDLコレステロールとHDLコレステロールの割合(LH比)をみることと、non-LDLコレステロールの値を確認することが大切です。
 
 
血中のコレステロール値は食べるものには影響されないということが発表されて、
 
何食べてもいいんだ!
 
と勘違いされている方も中にはいらっしゃるかもしれません。
 
残念ながら、
食べ物で摂ったコレステロールに限って、コレステロール値に影響を与えないのであって、
コレステロール値を高くする要因は別にあるのです。
 
それが、高血糖や中性脂肪です。
 
コレステロールが高い人は、
血糖が上がらないように
中性脂肪をためないように
しなければなりません。
 
その具体的な方法はこちらの記事にまとめました。
 
 
 
 
 
 
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