脳卒中で入院直後水を飲ませるのはなぜ危険?注意点と正しい方法とは?

      2017/10/28

 

例えば、家族が脳卒中(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)で入院したとして、入院した本人が「のどが渇いた。何かが飲みたい」と言われたら、あなたはどうしますか?

 

本人が飲みたいと言っているのだし、水ぐらい飲ませてもいいんじゃいか。

ジュースじゃなく、水なら大丈夫だろう。

ちょっとくらいなら平気だろう。

 

と考えて、飲ませてしまうかもしれません。

でもこれが実は、とても危険なことがあります。

脳卒中の入院直後は嚥下障害による誤嚥の危険が高いということを家族が知らないまま飲ませてしまい、医者や看護師から注意を受けてしまったという方も少なくないのではないかと思います。

この記事では、なぜ危険なのか、そして水を飲ませる場合の注意点と正しい方法について、お伝えしたいと思います。

入院直後に水を飲ませることが危険な理由

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水は飲むのが難しい

脳卒中(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)の発症直後には、飲みこみの障害―――嚥下障害が現れることがあります。(重症度にもよるため全員ではありません)

嚥下障害でまず一番に飲みこみにくくなるのは、実は固形物よりも水分なのです。

私たちは何も考えずに食べたり飲んだりしているのですが、わずか0.8秒のうちに口、舌、のどがとても複雑な動きを連携して行うことでごっくんと飲みこむことが出来ています。

嚥下障害になると、この複雑な動きの連携が崩れ、食べ物や飲み物がのどを通過するのに合わせて、タイミングよくゴックンと動かすことが難しくなります。

水分はのどを通過する速度が、固形物に比べて早いので、ゴックンのタイミングを合わせることが難しくなります。

上手く飲みこめなかった場合は、むせ込んでしまったり、気管に入り込んで誤嚥してしまったりします。

 

嚥下障害についてはこちらの記事もご参照ください 

 

 

口の中の細菌も飲みこんでしまう

もう一つ心配なのは、口の中の細菌も一緒に誤嚥する可能性が高いことです。

脳卒中で入院直後というのは、いろいろな検査や治療などが重なり、マウスケアまで気が回らないことが多いのが現状ではないでしょうか。

入院したばかりで身の回りのものが揃っていないことも多く、歯ブラシなどが手元になくてマウスケアが後回しにされてしまいがちです。

まだ、食事がはじまってないから歯ブラシも必要ないのではないか、と思ってしまうのかもしれません。

でも、実は、食べていないときほど口の中は不潔になりやすいのです。

口の中は通常唾液で潤っており、唾液には口の中をきれいにする作用があります。

この唾液が一番分泌されるのは、口を動かして食事をしたときです。

口から食べていないときは、唾液の分泌量が減ってしまうため、口の中の清浄作用が働かず、細菌が増えてしまいます。

そこへお水を飲ませてしまうとどうでしょうか?

嚥下障害があって、上手く飲みこめず誤嚥してしまったらどうなりますか?

 

細菌が水と一緒に肺の中に到達してしまい、肺炎を起こしやすくなってしまうのです。

 

唾液の役割についてはこちらの記事に詳しく書いています。

 

水を飲ませる場合の注意点と正しい方法

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飲ませても良いかどうか、必ず看護師に尋ねてみてください。

許可が下りなければ、絶対に飲ませてはいけません。

 

看護師さんが「いいですよ」と言われたら、飲ませても大丈夫です。

が、次のことに注意していただくと、より安全に飲んで頂けると思います。

 

飲む前に口の中をきれいにする

  • 自分でできそうであれば歯みがきをする。
  • うがいだけでもする。洗面所まで行けない場合はガーグルベースンを利用すると便利。
  • 自分でできない場合は歯みがきティッシュや口腔スポンジなどを利用して口の中を拭く。

口の中をきれいにしてから飲んだり食べたりしてください。

 

飲む姿勢

脳卒中での入院直後は血圧などの関係で、ベッドの背を上げて起こすことも禁じられることがあります。

また麻痺が後遺症として出ている場合もあって起き上がることが難しい場合が多いです。

このような理由で起きられないために、寝たままの姿勢で飲ませてしまうことがあるようです。

しかし、寝たままの姿勢で、しかも仰向きの姿勢で飲むというのはとても難しいですし、口からこぼれてしまったり、むせてしまったりすると思います。

健常な人でもし横になったまま飲むとしたら、おそらく首だけでも起こしたり、横向きになったりして飲むのではないでしょうか?

脳卒中の入院直後では、自力では首を起こしたり横向きになったりすることが難しいので、寝たままの姿勢で飲ませてしまうことがあるのではないかと思います。

 

起きなくても、飲むこと出来る姿勢があります。

それがベッドアップ30°+頸部前屈位です。

画像素材引用:nursereport.net

ベッドの背もたれを30度ほど上げるぐらいであれば、血圧の影響も受けませんし、本人にとっても起きるほど負担がかかりません。

この姿勢をつくるにはポイントがいくつかあります。

ベッドを上げる前に

  • 体全体を頭方向に十分に引き上げておく
  • ベッドの中央に真っすぐに仰向けになる

ベッドを上げる時には

  • 足をまず挙げてから、頭の方を30度まで上げる

最後に

  • アゴの下3本指が入る程度に前屈する姿勢になるように頭の後ろに枕をかいます
  • 足が支えられるように枕をかいます

この方法で姿勢をつくると、体全体のずり落ち防止になります。

体がずり落ちてしまうと、腹部が圧迫されるような姿勢になり、食べたり飲んだりする際に、本人が苦しい姿勢になります。

また首の角度も重要です。

画像素材引用:nursereport.net

30度にベッドを上げた姿勢のままだと、顔は天井方向、アゴが上がってしまっている状態になります。

仰向けでアゴが上がった姿勢(左)だと、飲みこみにくいうえに誤嚥しやすくなるため、アゴをひくようにするのが重要です。

この姿勢がきちんとできれば、一番誤嚥しにくい姿勢と言われています。

 

水だとむせてしまう場合

水でむせるということは嚥下障害がある可能性があるため、基本的には看護師や、言語聴覚士の指示に従ってください。

本人が欲しがる場合や、脱水予防で積極的に水分補給をしなければならないけれど、水などの液体ではむせてしまうのでなかなか水分補給が出来ないことがあります。

できるだけ、むせずに飲む方法がいくつかあるのでご紹介します。

①冷たく冷やしたものを利用する

ゴックンという嚥下運動は反射で起こります。

刺激が強ければ強いほど、嚥下反射は起こりやすくなります。

常温の水やお茶でむせやすい場合は、冷やしたものを使うとむせにくくなることがあるので一度試してみられるとよいと思います。

 

②飲み方を工夫する

コップや湯のみ、ペットボトルなどで、一度にゴクゴク飲もうとするとむせてしまうことがよくあります。

ストローで吸って飲むのは、場合によっては難しいこともありますし、勢いよく吸うと一度にたくさんの量が口の中に入り、ゴックンが間に合わずむせてしまうこともあります。

例えばこれを使うと便利です。

 

楽のみ(吸飲み)

容器を傾けて飲むことができるので、一口の量を自分で調整できます。

取っ手(ホルダー)がついていると持ちやすいです。

 

※「楽のみ」の商品説明で「寝たまま飲める」と書いてある場合がありますが、嚥下障害の場合は寝たまま飲ませてはいけません!

 

③嚥下障害者用の水のゼリーを利用する

水分でむせる場合はとろみをつけたり、ゼリー状になるとむせずに飲むことが出来ることが多いです。

今は嚥下障害者用の水分補給用のゼリーが各種販売されています。

味がついているものもあるので好みに合わせて利用されるとよいのではないかと思います。

 

 

 

まとめ

脳卒中の入院直後には、飲みこむことがむずかしくなる嚥下障害が現れることがあります。

何も知らずに、本人が飲みたがっているからと水を安易に飲ませてしまうと、息道に入ってむせさせて苦しい思いをさせてしまったり、誤嚥させてしまったり、さらには肺炎を引き起こしてしまう可能性もあります。

水だから、少しだから、と安易に考えず、まずは看護師に水を飲ませても大丈夫なのかどうか尋ねてみてください

もし許可が下りるようでしたら、マウスケアを十分に行い、姿勢に気をつけて飲ませてあげて下さいね。

 

 

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