脳卒中後の構音障害とは?嚥下障害への影響と改善へのキーポイント

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脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)が原因で食べられなくなったり、飲みこめなくなる摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)障害になった場合、脳の損傷部位によっては、ほかの後遺症も合わせもつ場合があります。

その後遺症が摂食・嚥下障害にも大きな影響を与えることもあります。

ここでは摂食・嚥下障害に合併しやすい後遺症のうちの一つ「しゃべりにくさ」の障害について説明します。

専門用語で構音(こうおん)障害と言います。

構音障害とはどういう障害なのか、また、嚥下障害にはどう影響するのか、そして構音障害のリハビリテーションの方法もお伝えします。

 

構音障害とは

「構音(こうおん)」は、ほぼ「発音」と同じ意味に考えてよいと思います。

患者さんはよく「呂律(ろれつ)が回らない」「しゃべりにくい」と表現します。

何らかの原因で舌や口唇、軟口蓋などの構音器官が動かしにくくなり、しゃべりにくくなってしまう状態のことを構音障害と言います。

構音障害の種類

構音障害には大きく3つに分類されます。

 

器質性構音障害…構音器官そのものの形や機能が原因となる構音障害 例)先天性口唇口蓋裂 後天性悪性腫瘍の切除後など

運動障害性構音障害…神経系の病変によって構音器官の運動障害が原因でおこる構音障害 例)脳卒中、パーキンソン病など

機能性構音障害…器質性、運動障害性などの原因がない構音障害 例)子どもの発達期にみられる発音の遅れなど

 

この記事で取り上げる構音障害は主に、2番目の運動障害性構音障害についてとなります。

 

構音障害の症状

構音障害は、ただ発音がしにくい、呂律が回らないという症状だけではありません。

  • 声が長く出せない
  • 声がしゃがれ声、カサカサ声、ガラガラ声になる
  • 大きな声が出せない
  • 鼻にかかったような声になる
  • 話すスピードが遅い もしくは話すスピードをコントロールできない
  • アクセントやイントネーション(抑揚)がつけられない

など、さまざまな症状が合わさって、相手に聞き取りにくい話し方になってしまいます。

 

 

摂食・嚥下障害への影響

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構音器官はおしゃべりするだけではなく、食べたり、飲んだりする器官でもあります。

構音障害がある場合には、摂食・嚥下障害もあると考えてよいと思います。

発音がうまくできていない時には、食べることや飲み込むことも難しくなります。

摂食・嚥下は5段階に分けて考えると分かりやすいです。

  1. 食べ物を認識する 先行期

  2. パクパク、もぐもぐ 準備期

  3. まとめて送り込む 口腔期

  4. ゴックンと飲み込む 咽頭期

  5. 胃まで運ぶ 食道期

このうち、構音障害のある方が特に問題となるのが、2.準備期と、3.口腔期になります。

 

口唇をしっかり閉じることができないために、飲み物を口に含んだときに麻痺のある方の口角から漏れることがあります。

また、咀嚼している間に、食べ物をぼろぼろとこぼすこともあります。

舌がうまく動かせないので、頬と歯茎の間に食べ物が残ってしまっても舌で取り除くことができません。

舌の運動障害が重いと、食べ物をのどまで送り込むことも難しくなります。

 

  準備期と口腔期についてはこちらの記事も合わせてお読みください 

 

 

 

構音障害のリハビリテーション

構音障害の重症度に合わせて、次のようなリハビリを行います。

口の体操

構音器官である口唇や頬、舌を動かす体操をします。

また、声を出すときに軟口蓋が上がらず、鼻にかかったような声になる時にはブローイングが有効です。

口唇の体操

  • 大きく口を開けます ⇔ 閉じます
  • 口唇を横に引いて「イ」の口 ⇔ 口唇をとがらせて「ウ」の口
  • 頬を膨らませる⇔頬をへこませる
  • 右の頬に空気を入れて膨らませる ⇔ 左の頬に空気を入れて膨らませる

各運動を大きく(動かせる最大限の範囲で)、ゆっくり10回ずつおこないましょう。

舌の体操

  • 舌を出す
  • 舌で唇の左右の端につける
  • 舌で左右のほほをおす
  • 舌で唇の周りをなめる
  • 口の中で舌を回す

各運動を大きく(動かせる最大限の範囲で)、ゆっくり10回ずつ行いましょう。

ブローイング

上級編になりますが、軟口蓋を持ち上げる訓練として有効なのがペットボトルブローイングです。

<準備するもの>

  • ペットボトル(キャップもつけておく)
  • ストロー
  • 穴を開ける道具(キリ、ドライバー、ライター)

<やりかた>

  • 10秒間×10セット
  • 強く短く吹く×5回
  • なるべく長く吹き続ける 

無理のない範囲で、自分のペースで行うようにしてください。

ペットボトルのキャップをゆるくつけた状態であれば、軽い運動に、きつく締めた状態であれば、少し負荷のかかった運動になります。

 

発声練習

できるだけ、リラックスした状態で肩やのどに力を入れないように気をつけながら実際に声を出す練習をします。

お腹から声をだす腹式呼吸で発声できるとさらに効果的です。

  • できるだけ長く「あー」と伸ばす。(「おーい」や「ヤッホー」、「はーい」などでもよい)
  • 短く鋭く「あっ」「あっ」「あっ」

 

発音の練習

例えば「ラ行」の音が発音しにくい場合、

  • 繰り返して言ってみる 「ららららららららら‥…」
  • 「ら」のつくことばを練習する 「ラクダ、ラッパ、ランドセル、ライオン、カラダ、ソラ、カラカラ…」
  • 「ら」のつく短文を練習する 

さらには

  • 声に出して読む (新聞、物語など)
  • 早口言葉を言う
  • 歌を歌う

このように、レベルに合わせてできる範囲で発音の練習をします。

 

構音障害のリハビリを効果的に行うには

しゃべりにくさがあると、話すことが億劫に感じてしまったり、人と話す自信をなくしたりするため、人と会話することを避けてしまう方もおられます。

もちろん、上に書かれたようなリハビリを一生懸命やるのも大切です。

でも、もっといいリハビリは人と会話をすることです。

しゃべることが一番のリハビリとなります。

もし、家族が構音障害でしゃべりにくくなった、という場合にはできるだけお話し相手になってあげてください

発音がうまくできていなくても、話している内容が聞き取れたならば、無理に直させなくても大丈夫です。

「おしゃべりをする」ということに自信をもっていただき、どんどんしゃべって頂くことが構音障害回復のキーポイントです。

 

まとめ

脳卒中後の摂食・嚥下障害に合併しやすい構音障害について、この記事ではお伝えしました。

  • 構音障害とは、口唇や舌などの運動障害によってしゃべりにくくなっている状態の事を言います。
  • 構音障害があると、摂食・嚥下の5段階のうち、準備期と口腔期に大きな影響が出ます。
  • 構音障害のリハビリテーションには、口の体操、発声・発音練習、ブローイングなどがあります。
  • 一番よい構音障害=摂食・嚥下障害のリハビリテーションは「人と会話をすること」です。

私たちが当たり前のようにできる、おしゃべりも食べることも、一度できなくなると、その役割の重要さに気づかされます。

今までのようにしゃべれないから、人と会わない生活をするのではなく、リハビリのためにも、ご自分の生活の楽しみの一つのためにも出来るだけ人と会い、会話をすることをおすすめします。

 

脳卒中についてはさらに知りたい方は、こちらの記事を合わせてご覧ください。

摂食・嚥下障害についてさらに知りたい方は、こちらの記事を合わせてご覧ください。

誤嚥性肺炎についてさらに知りたい方は、こちらの記事を合わせてご覧ください。

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