延命治療とは?種類と高齢者の延命治療のメリット・デメリットについて

      2017/10/28

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高齢者が入院されると遅かれ早かれ、医師から家族に延命治療をするかどうかの確認があると思います。

リビングウィルなどで、本人の意志がはっきりとわかるのであればそれに従えばよいのですが、本人の意志が分からない場合は、家族が決断しなければなりません。

しかし、一般の方が「延命治療」と言われて、具体的にどういう治療の事なのか理解されていることは少ないのではないかと思います。

また最近では、「過度な医療行為」として否定的な意味合いを含む場合もあり、それが誤解を生んでいることもあります。

この記事では、延命治療とは何か、延命治療の種類と具体的な方法、そして延命治療をすることによるメリット・デメリットをお伝えしたいと思います。

延命治療とは

厚生労働省から出されている「終末期医療のあり方について」(2008年2月14日日本学術会議 臨床医学会終末期医療分科会)によると延命治療とは以下のように説明されています。

 

延命治療とは、一般的には”何らかの治療行為を行わなければ死に至るはずのものを、生きながらえさせる”ための治療としての意味合いで使われている。がん、心臓病、アルツハイマー病に対する”代替療法”を延命治療法として取り扱っている場合もあり、すぐに死に至るような病状ではなくても使われることがある。また、無駄な医療行為との意味合いが含まれて使われることも少なくないが、延命治療を行うことと、行っている延命治療の医学的無益性の判断とは本来別の問題であると考えられる。さらに治療内容は人工呼吸器や補助循環に止まらず、終末期では 輸液管理や栄養管理までが延命治療に含まれることが多い。

引用元:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1027-12g.pdf

 

もう少し分かりやすく説明してみましょう。

延命治療は、治療=治すことという言葉が含まれますが、その治療で治るというわけではなく、あくまで「命を延長させる」だけの治療のことを言います。

根本的にその状態を治すための治療ではありません。

 

誤解されやすいのですが、延命治療という言葉自体、無駄に命を永らえらせる治療と思われがちです。

しかし、例えば延命治療の一つである人工透析では、それを行うことによって、命を延長でき、仕事をしたり趣味を楽しんだり、その人らしい生き方を謳歌できる場合もあります。

状況によっては、その人が生きるために必要な治療として施される場合もあるとご理解ください。

ただ、高齢者の寝たきり状態、認知症の末期状態などの場合では、時に延命治療が過度な医療行為ではないか、という議論があるのは間違いないことと思います。

前者の延命治療と、後者の延命治療では少し意味合いが異なってきますので、ここでは、後者の高齢者の延命治療に焦点を絞って、話を進めたいと思います。

 

延命治療の種類

ここでは延命治療が施される状況に分けて、説明したいと思います。

 

突然心肺停止になった場合

高齢者の場合、突然、心停止、呼吸停止となることもあります。

その場合に施される延命治療として、

  • 心肺蘇生法
  • 人工呼吸器

などがあります。

 

心肺蘇生法

心臓が呼吸も止まってしまっている場合に、肋骨の中央部にある胸骨を心臓の代わりに圧迫することによって、血流を保たせ、心臓と肺(呼吸)を蘇生させる方法です。

電気ショックで心臓にショックを与えて蘇生させる方法も含みます。

血液を全身に回すには、かなり強く圧迫することが必要で、その圧迫の強さによって、肋骨が折れてしまうことが多いそうです。

 

人工呼吸器

自力で呼吸が出来なくなった場合に、肺に空気を押し込み酸素を取り入れさせるための機械を人工呼吸器と言います。

人工呼吸器で空気を押し込むための管を口から気管にかけて入れます。

人工呼吸器の使用が長期間に渡る場合は、のどの中央部を切開して(気管切開)そこから小さな管を通し、空気を押し込みます。

人工呼吸器で呼吸を補助しても、常にのどには管が通っている状態で痰が貯まりやすく、定期的に吸引が必要となります。

また気管切開をすると、声が出せません。

 

一度人工呼吸器をつけると、なかなか外すことができないと言われています。

 

 

死期に近づきつつある場合

昇圧剤の使用

死期に近づいてくると、血圧が徐々に下がってきます。

その下がってくる血圧を保たせるために使われるのが昇圧剤です。

効果は一次的なもので、昇圧剤を使っている間は血圧を保つこと、もしくは低下を緩やかにすることは可能です。

例えば、遠方に住んでいる家族が臨終を看取りたい場合、病院に駆け付けるまでの、一時的な延命治療として希望するという選択肢もあります。

 

輸血・血液製剤

出血が止まらない場合など、血液の量を補うために施されるのが輸血です。

ただ、ここで輸血される血液はドナーから治療のためにと提供された血液なので、終末期で輸血に使われることはあまりないと聞いています。

 

緊急性はないが、延命治療をしなければ確実に死に至る場合

今すぐ、という緊急性はないものの、生きるためには何らかの延命治療を必要とするような状況として、

  • 口から食べられない場合
  • 腎臓が働かない場合

などが挙げられます。

 

口から食べられない場合

このブログでもたびたび取り上げていますが、高齢の脳卒中の患者さんや認知症の末期の方など、最終的に口から食べられなくなってしまう方がいます。

その場合に延命治療としては人工栄養法が取られます。

人工栄養法には大きく3つあります。

  • 点滴で高カロリーの輸液を入れる
  • 胃ろうをつくる
  • 鼻からチューブを入れる

 

それぞれの方法の詳しい内容や、メリット・デメリットについては過去記事をご覧ください。

点滴で高カロリーの輸液を入れる 

 

胃ろうをつくる 

 

鼻からチューブをいれる 

 

 

腎臓が働かない場合

腎臓は体のお掃除屋さんの役割を果たします。

つまり、全身を回る血液中の老廃物をろ過して、体内の余分な水分と一緒に尿として排出する役割をしています。

腎臓が働かなくなると、体の中に老廃物や余分な水分が貯まってしまい、最悪の場合死に至ります。

この腎臓の役割を代わりに行う治療が人工透析です。

 

一般的に行われているのは、血液透析と言われています。

腕の静脈と動脈を繋いだシャントという部分から、体内の血液を取り出し、機械を通して血液中の老廃物や余分な水分を取り除いて、きれいになった血液を戻します。

その方の状態にもよりますが、週3日、一回4~5時間のスパンで行われることが多いです。

透析中はベッドの上で安静にしていなければなりません。

 

 

高齢者の延命治療のメリット・デメリット

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メリット

根本的には治療できない状態になっても、延命治療という医学の進歩のおかげで、命を延長出来ることが最大のメリットです。

1分、1秒でも長く生きたい、生きていてほしいと願う人にとっては必要な治療なのかもしれません。

 

デメリット

医療費の負担が大きい

延命治療をして、命は延長できても、高齢者の場合は特に、元通りの生活ができるわけではありません。

命が長くなる分、治療費、入院費はかさみます。

 

家族の負担が大きい

大切な家族が危篤状態というだけでも、精神的なストレスは大きいものだと思います。

さらに、延命治療をするとなると、家族の看護、介護はゴールの見えないマラソンが続くような状態になります。

 

本人のQOLの低下

延命治療で、体中にたくさんの管やチューブが付けられている状態のことを「スパゲティー症候群」とも呼ぶそうです。

心臓が動き、息をしているだけという状態が続くのなら、このスパゲティー症候群という状態は果たして本人にとって望ましい状態なのでしょうか?

QOL(キュー・オー・エル)とは、Quality of Life(人生の質)の頭文字をつなげたものです。

人生の最後の最後でスパゲティー症候群という状態は、QOLの高い状態とは決して言うことが出来ないと思います。

 

まとめ

今回はあえて「延命治療」という、簡単には答えの出ないテーマに真正面から向き合ってみました。

最後に私、つばめの個人的な考えをお示ししたいと思います。

私は、治療の限りを尽くしても改善が認められない状態になった場合の延命治療については拒否をしたいと思っています。

ただ、全ての延命治療を否定しているわけではありません。

もし、人工透析や人工栄養によって、私が私らしく生きることが出来る可能性があるのであれば、そしてそれが自分で判断できるのであれば、延命治療を選択します。

最近では「延命治療」という言葉自体が、終末期における過度な医療行為という意味を含んで使われることが多いように感じます。

そのせいか全ての延命治療を否定的に考えてしまう方もいるのではないでしょうか?

でも、大切なのは、「その後、改善の可能性があるかどうか」「その後自分らしい生活ができるかどうか」状況の見極めであり、その状況によって、選択する道は変わると思います。

どんなに医療が進歩しても、人は必ず死を迎えます。

その死の迎え方をどのようにしたいのか、一度考えてみられてはいかがでしょうか?

そして、もしこの記事をきっかけに、自分の人生の最後を考えられたのであれば、残される家族のためにも、ぜひリビングウィルとして残してください。

 

 

リビングウィルについてはこちらの記事を参考にしてください。

 

 
 

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