回復期リハビリとは?入院の条件や内容、そして脳卒中の後遺症は治るのか?

   

脳卒中(脳出血・脳梗塞・クモ膜下出血)で入院し、治療が一通りすんで状態が落ち着いてくると、後遺症の状態によって回復期リハビリテーション病院への転院をすすめられます。

脳卒中の後遺症、例えば半身の麻痺や、言語障害、嚥下障害、高次脳機能障害がある状態では、自宅や職場に復帰することが難しいからです。

脳卒中発症から半年の間はもっともリハビリの効果が高く改善する確率も高いと言われています。

ここでは、回復期リハビリテーションの内容や、入院の条件、また回復期リハビリを受けることによって脳卒中の後遺症は治るのか、ということについてお伝えしたいと思います。

回復期リハビリテーションを受けるためには

回復期リハビリテーションを受けるためには、認定されている病棟に入院する必要があります。

 

回復期リハビリテーション病棟とは

回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患または大腿骨頚部骨折などの病気で急性期を脱しても、まだ医学的・社会的・心理的なサポートが必要な患者さんに対して、多くの専門職種がチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻っていただくことを目的とした病棟です。

回復期リハビリテーション病棟協会 www.rehabili.jp/visitor.html

 

 

「自宅や社会に戻っていただくこと」を目的

基本的には、回復期リハ退院後は在宅復帰を考えている方が対象となります。

それぞれの病院や地域によっても違うと思いますが、介護を必要とする状態だけれども、家族で介護することは難しく施設を希望するという場合には回復期リハ病棟には入院できない場合があります。

 

 

入院時期と入院期間が決まっている

厚生労働省の定めで、回復期リハビリテーションに入院できる時期と、入院できる期間が決まっています。

脳卒中後の場合は、

発症から2か月までの間であれば回復期リハビリテーション病棟に入院することができます。

そして入院できる期間は発症から150日間と決められています。

ただし、高次脳機能障害(失語症や、記憶障害、失行、失認など)がある重症の脳卒中の場合は180日間のリハビリが認められています。

 

回復期リハビリの内容は?

リハビリには3種類あります。

理学療法(PT)

病気やケガなどで身体に障害のある人に、日常生活を行う上で基本となる動作の改善や、運動療法、物理療法(温熱、電気などを用いた治療)を行います。

Physical Therapyの略でPTとも呼ばれたり、もっと分かりやすく「足のリハビリ」と表現されることもあります。

 

作業療法(OT)

ここでいう「作業」とは、セルフケアや家事、仕事など人の日常生活に関わる全ての活動のことを言います。病気やケガでこのような「作業」が困難となった方に、生活していくために必要な能力を身につける訓練を行います。

Occupational Therapyの略でOTと呼ばれたり、「手のリハビリ」と表現されることもあります。

 

言語聴覚療法(ST)

口唇や舌、のどなどの言葉を発する器官や、ことばの機能、耳の聞こえ、記憶障害など脳の機能の障害や飲みこみなどに障害がある方たちの主にコミュニケーション訓練を行います。

Speech and Language Therapyの略でSTと呼ばれたり「口のリハビリ」と表現されることもあります。

 

回復期リハビリの特徴

全ての患者さんが3種類のリハビリを行うわけではありません。

リハビリテーション医によってその方に必要なリハビリが決められます。

もし3種類ともリハビリを行う場合は、各療法1日3単位(1単位20分)まで、一日最大で3時間のリハビリを受けることができます。

 

しかし、リハビリの時間だけがリハビリではありません。

回復期リハビリテーション病棟に入院すると、朝起きてから、夜寝るまですべての活動がリハビリになります。

例えば、着替えること、トイレに行くこと、食事をとること、など自分でできることは自分で行うことがリハビリになります。

もちろん介助や見守りが必要な場合は看護師や看護補助者が付き添うことになります。

入院中だからといって、何もかもやってもらえるわけではありません。

 

 

回復期リハビリテーションで脳卒中の後遺症は治るのか?

患者さんの「治る」の意味するところ

脳卒中の後遺症で多いのは半身のマヒです。

患者さんの気持ちとしては、リハビリで「動かなくなった手や足が動くようになる」ことを望んでおられると思います。

そして、今まで通り動くようになることが「治った」ということだと考えているのではないでしょうか。

現実的なことをお伝えすると、脳卒中で脳にダメージがありマヒが起こっている場合、そのダメージが大きければ大きいほど、麻痺は治りにくく、時間がかかってしまいます。

回復期リハビリテーション病棟に入院できる最大の期間180日(約半年)で治るというわけにはいかないのが現状です。

今の回復期リハビリの規定では、180日間たったら、マヒが治らなくても退院しなくてはならないのです。

マヒが残っていても自宅で生活しなければならないのです。

 

そこで、回復期リハビリテーション病棟では、麻痺を改善する「機能回復訓練」よりも「日常生活動作訓練」を優先して行います。

日常生活動作訓練とは、例えば車椅子への乗り移りや、家の中の伝い歩き、トイレ、お風呂、食事、着替えなど毎日の生活の中で必要な動作をマヒがある体でも安全に、確実に、できるだけ自分自身の力で行えるようにする訓練です。

よく「機能回復訓練」を望んでおられる患者さんや家族のかたが、回復期リハビリでは「日常生活動作訓練」しか行わないことに不満を持ってしまうことはあるようですが、今の国の規定だと、このように「家に帰ることを想定した訓練」をメインに行わざるを得ません。

一昔前までは期間は定められておらず長期間入院して機能回復訓練を行うことが出来ました

しかし、今の規定では短期間で集中的にリハビリを行うようなシステムになっています。

これから高齢者が増え、莫大な医療費がかかるということを考えても、こういうシステムにならざるを得ないとも思います。

患者さんやそのご家族にとってはあまりいい現状とは言い難いかもしれませんが、これが現実です。

動かなくなった手や足が動かせるようになることも大切ですが、その機能回復だけではなく、そのマヒが残る体でも出来るだけ自分自身で日常生活を送ることが出来るようになることが回復期リハビリテーションの役割ということを理解する必要があると思います。

 

回復期リハビリを受ける患者さん・家族の心構え

国で定められたリハビリの現状は厳しいものがありますが、限られた期間を有効に、有意義に過ごす方法はあります。

今まで実際に患者さんのリハビリをしてきて、回復が早いなと感じる方にはある共通点があると思います。

それはリハビリのスタッフに「治してもらおう」というのではなく「自分で治す」という気持ちがあることです。

他の薬や手術などの治療と違ってリハビリは、医療スタッフが出来ることはアドバイスと手助けのみで、あとは患者さん本人に頑張ってもらうしかありません。

それでもやはり、上手くいかなくて落ち込むときもあります。

その時は家族の温かい支えが必要です。

ただ、何でもやってあげればよいというものでもありません。

できることは本人でやってもらうようにし、あまり手を貸さないようにします。

でも、どうしてもできないことは手伝ってあげてください。

出来ることとできないことの見極めをするのはとても難しいことですが、看護師やリハビリスタッフに聞けば教えてくれると思います。

また、どうしても日常動作訓練が優先されますが、だからといって、マヒの回復をあきらめる必要は全くありません。

例えば、マヒを改善する機能回復訓練はリハビリ以外の時間で自分でトレーニングできることもたくさんあります。

積極的にリハビリスタッフに聞いてみてください。

ただその時には、必ずスタッフの指導は守るようにしてください。

自分や家族の判断で無理をして、転んでしまったり、痛みがでるとリハビリそのものが行えなくなってしまうこともあります。

 

リハビリはリハビリスタッフや看護師と共に本人、家族もチームとなって一緒に行っていくものです。

 

 

 

 

回復期リハビリテーション病院についてもっと知りたい方に

医療系のテーマの小説はたくさんありますが、リハビリをテーマにしたものはとても少ないと思います。

その中で回復期リハビリテーション病棟を舞台に描かれた小説がこちらです。

『ナースコール!~こちら蓮田市リハビリテーション病院』

 

実際にリハビリテーション医の先生が執筆された本です。

この中には言語聴覚士も登場しますし、ご飯が食べられなくて鼻からチューブを入れている嚥下障害の患者さんも描かれています。

リハビリに対する思い、情熱が看護師、リハビリスタッフ、患者さんそれぞれの立場から描かれていて、回復期リハビリを行っている患者さんやそのご家族、また、医療スタッフが読んでも共感できる部分が多いのではないかと思います。

実際に回復期リハビリってどんなものだろう?と知るのに、とてもよい本です。

 

 

まとめ

回復期リハビリテーションについてお伝えしました。

脳卒中の後遺症のある方が回復期リハビリテーションを受けるための条件は次の3つです。

  • 発症から2か月以内であること
  • 在宅復帰、社会復帰を目指すこと
  • 「自分で治す」という心構えがあること

私つばめも回復期リハビリテーションに携わったことがあります。

実際に、日常生活動作訓練をメインに行っていたら、「ちっとも良くならない」と不満を言われたこともあり、やるせない気持ちになったこともあります。

逆に、長期間患者さんと一緒に頑張った結果、自宅退院が叶ったときには本当にうれしく思いました。

回復期リハビリテーションの特徴や目的を理解され、スタッフと患者さん、家族が1つのチームとなり同じ目標に向かうことができるということが、患者さんにとってもベストな道なのではないかと思います。

 


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