日野原重明氏のような「人生の終え方」をするためのリビングウィルとは

      2017/12/06

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平成29年7月18日、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏が105歳で死去しました。

100歳を超えても現役の医師として活躍されたことで有名ですが、経歴を紐解くと数々の功績を残していらっしゃいます。

1970年におきた「よど号ハイジャック事件」の人質となったことも知られていますし、1995年地下鉄サリン事件の際には、事件の真相が全く分からない状態の時に、その日の外来診療を全て休診にし、被害者の救命に全力を尽くすよう指示をしたそうです。

また、今は「生活習慣病」という名の方が定着しましたが、その昔「成人病」と言っていた一連の病気のことを「生活習慣病」と名付けたのも日野原先生とのことです。

 

日野原先生のこれまでの数々の功績が注目したいところですが、ここで取り上げたいのが、聖路加国際病院の福井次矢院長が記者会見で語った内容です。

「望ましい生き方と人生の終え方を提言した日野原先生が、それを実践した生を終えられた」

 

福井院長によると、日野原氏は3月下旬に消化機能の衰えにより食べることが難しくなったが、体に管を入れて栄養を取る経管栄養や胃ろうなどの延命治療を「やらない」と拒否。数日後に退院し、自宅で福井院長らの診察を受けながら療養していた。17日夜、福井院長が訪ねた際に「つらいところはありませんか」と聞くと、顔を左右に振って応えた。18日朝は次男夫婦ら家族が見守る中、徐々に呼吸機能が低下していったという。

引用元:http://www.sankei.com/

 

 

自分の意志で、延命治療をするか、しないかの決断をし、自宅で家族に見守られながら息を引き取る、私はこれが一番人間らしい死に方なのではないかと思います。

もし自分が人生を終える時には、こんな死に方をしたい、と思います。

 

でも現実には、このような看取りができる場合というのはとても少ないように感じます。

日野原先生のように、人生の最後の最後まで、自分で自分のことを判断できる能力が残っているかいうと、そうではない場合の方が多いかもしれません。

認知症を患うことになるかもしれませんし、重篤な脳卒中で意識が戻らない状態が長く続く場合もあります。

そのような時にでも、日野原先生が提言した「望ましい生き方と人生の終え方」を実践する方法が実はあります。

それがリビングウィルです。

 

 

リビングウィルとは

元気で自分自身で判断できる能力がある時に、予めどのような「最期」を望むのかを「生前の意思表示」として書き残したものの事です。

基本的には「もう自分の命が、治る見込みもなく終末期である場合には延命処置をしないでほしい」という旨を宣言するものとなります。

「生前の意思表示」なので、もし本人が望むのであれば、「治療に全力を尽くしできるだけ長く延命治療を続けてほしい」と書き残すことができます。

このリビングウィルに法的拘束力はありませんが、本人の意思がはっきり残っていれば、家族も判断をする際の苦悩も減りますし、医療従事者もその意思を尊重するようにする場合が多いようです。

 

 

リビングウィルが効力を発するとき

人生の終末期に、回復の見込みがない状態になった場合、意識がなかったり、判断能力が落ちてしまっていて自分自身で治療方針の判断ができない場合に、リビングウィルが効力を発揮します。

具体的に以下のような状況が想定されます。

  • 交通事故などで重篤な脳損傷を受けた状態
  • がんなどの末期で意識がない状態
  • 重篤な脳卒中で、寝たきり、意識のない状態
  • 認知症の末期
  • 何らかの原因で口から食べられなくなった時

 

延命治療とは

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具体的に延命治療と呼ばれるものは以下のものがあります。

これらの延命治療を選択するのか、しないのかを明記する必要があります。

  • 心肺蘇生法
  • 人工呼吸器
  • 人工透析
  • 胃ろう・鼻チューブによる栄養補給
  • 点滴

 

心肺蘇生法 

心臓・呼吸が停止した場合に行う処置です。胸部を圧迫する心臓マッサージや人工呼吸、電気ショック、薬剤の投与などを行います。

 

人工呼吸器 

自分の力で呼吸ができない場合に、機械によって呼吸をさせる処置です。

口から気管まで管を入れたり、場合によっては気管切開をすることもあります。

一度人工呼吸器を使うと、呼吸状態が回復するまで抜去は難しいです。

 

人工透析

血液の老廃物の処理を行う腎臓が機能しなくなった場合に、その機能を代行する装置を用いて腎臓の代わりをさせることです。

 

胃ろう・鼻チューブによる栄養補給

口から食べ物が食べられなくなった場合、流動食をチューブから送り込んで、栄養を摂る手段です。

胃ろうは胃に直接穴を開けて管を通し、流動食を送り込みます。

鼻チューブは鼻から胃へチューブを入れて、流動食を送り込みます。

直接胃に入るので、長期間、十分な栄養・水分が補給されます。

 

胃ろう・鼻チューブについてはこちらの記事をご覧ください

 

点滴

高カロリーの点滴を入れる場合は、口から食べられなくても、年単位で生きることができます。

水分補給だけの場合は、数週間単位、水分補給もなしであれば、数日単位となります。

 

高カロリー輸液についてはこちらの記事も参考にしてください。

 

延命治療についてはこちらの記事もご覧ください。

 

緩和治療について

終末期で痛みや苦しみを伴う場合、その症状を少しでも緩和し楽にするのが緩和治療です。

具体的には痛みを抑える鎮痛剤や医療用麻薬、呼吸を楽にする酸素マスクなどがあります。

もし、緩和治療を望むのであれば「苦しみや痛みを楽にするための緩和治療は受けたい」という旨をリビングウィルに記載します。

 

 

リビングウィルの作成方法

書式は定まったものではありません。

『やすらかな死を迎えるためにしておくべきこと リビングウィルのすすめ』などの著書がある大野竜三氏のホームページには、

  • 家族や医療従事者が理解できるように具体的に書くこと
  • できるだけ自分の言葉で書くこと
  • 「これまでの人生を精一杯生きてきたので、もし自分の身に何かがおこっても悔やむことはない」というようなことを付け加えること

とあります。

そして、家族とよく話し合ったうえで作成し、本人、家族とも署名捺印し、コピーをその家族に預けます。

かかりつけ医がいる場合は、その医師や病院に預けることもできる場合があります。

リビングウィルは気が変わったらいつでも変更することが可能です。誕生日の折など2~3年に一度内容を見直すことも必要です。

 

日本尊厳死協会に入会する

リビングウィルを作成する方法として、日本尊厳死協会に入会するという方法もあります。

会員になると、作成したリビングウィルを協会で管理してもらえるほか、会報やリビングウィルに理解のある医師を紹介してもらえたり、終末期について電話相談が出来たりします。

リビングウィルを作成するのに、必ず入会しなければならないというわけではありませんが、ホームページにはリビングウィルについて詳しくまとめられているので、一度ご覧になるとよいかもしれません。

 日本尊厳死協会ホームページ

 

まとめ

自分自身で判断ができなくなったときに、その判断を委ねられるのは、身近な家族です。

しかしその家族にとっては一日でも長く生きていてほしいと願うものであり、その判断をするというのは、愛すべき人の命を縮めることにもつながるので、簡単に決められることではなく決断に苦悩を伴います

そういう意味でも、リビングウィルという形で自分の意思を書面で残しておくことは意義があることに思います。

その時に大切なのは、家族としっかり話し合うことだと思います。

いざ、その時になった際、本人の残したリビングウィルと家族の意思が相容れない場合、現状では、医療側としては家族の意思を尊重せざるを得なくなるのではないかと思います。

せっかく残したリビングウィルも効力を発揮させることが出来なくなる可能性があります。

60歳を過ぎたら、ご夫婦で、家族で一度リビングウィルについて話し合ってみてはいかがでしょうか?

 

 

この記事は以下を参考にして作成しました。

聖路加国際病院 『私のリビングウィル』http://hospital.luke.ac.jp/about/images/livingwill.pdf

リビングウィルとは?必要性と書き方(例文)https://square.umin.ac.jp/liv-will/

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