
私、つばめは言語聴覚士として病院に勤務していますが、私がリハビリをしている患者さんのほとんどが70歳以上です。
その中で、認知症も患っている方がほとんどです。
脳卒中後の後遺症に対するリハビリを行うだけではなく、認知症にも対応していかないといけません。
本当に認知症の患者さんが増えたなぁと実感しています。
実際に厚生労働省の統計を見ると、平成24年の時点で認知症患者は462万人。65歳以上の高齢者の15%、7人に1人は認知症でした。
さらに、平成37年には認知症患者は700万人、65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症になると推定されています。
参考:www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/gaiyou/pdf/1s2s_3.pdf
認知症対策は国全体で考える重要課題になっています。
でも、最終的には私たち一人一人が認知症に対して今できる対策をしていくことが重要なのではないかと思います。
将来認知症になる人ができるだけ減るように、このブログでも認知症についての記事をたくさん書いてきました。
ここでは認知症について、リスク要因や予防法も含めて書かれた記事を紹介したいと思います。
もくじ
認知症とは
脳内に異常なたんぱく質が溜まってしまうことによって、日常生活に支障が出るほど、記憶力や判断力、思考力などが低下してしまった状態を認知症と言います。
老化現象とは異なり、脳内の病気によって引き起こされる症状です。
認知症の症状
認知症に見られる症状は中核症状と行動・心理症状の2つに分けることができます。
中核症状
認知症であれば誰にでも見られる症状です。次のようなものがあります。
- 記憶障害…直前にやっていたことでも忘れてしまう
- 見当識障害…今日が何日か、今何時ごろなのか、ここはどこなのか、が分からなくなる。
- 失行…道具が使えなくなる。間違って使ってしまう。着替えが出来なくなる、など。
- 失認…人の顔が分からない。道に迷ってしまう。など。
- 失語…言葉が出てこない。めちゃくちゃな言葉を言ってしまう。など
- 判断力・実行力の低下
行動・心理症状
行動・心理症状は周辺症状とも言われます。
病院内では、Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの頭文字をとってBPSDと呼ばれることもあります。
中核症状が元になって出てくる症状で、症状は人によってさまざまです。
例えば次のような症状が現れることがあります。
<心理面>
- 不穏・せん妄…落ち着かず、混乱状態になる
- 抑うつ
- 幻聴・幻覚
- 妄想…自分のものが盗まれたと思い込んでしまう物盗られ妄想など。
<行動面>
- 徘徊…家に帰ろうと思い一人で出歩いてしまう。
- 介護拒否
- 暴力・暴言
- 不眠・昼夜逆転…夜眠らないために、昼間眠ってしまい昼と夜が逆転してしまう。
- 食異常行動…人の食べ物を食べたり、食べ物ではないものを食べてしまう。
家族や介護者が悩まされるのは、心理・行動症状です。
認知症の種類
認知症にはその病態によって4つのタイプに分けることが出来ます。
- アルツハイマー型認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
- 脳血管性認知症
この認知症の4つのタイプについてや、もの忘れと認知症の違いについてはこちらの記事に詳しく書かれています。
認知症の中でも一番数の多いアルツハイマー型認知症についてはこちらの記事に詳しく書かれています。
認知症を引き起こす9つのリスク要因
2017年に行われたアルツハイマー病国際会議では認知症のリスク要因には9つあり、それを上手くマネジメントすることで認知症を予防できたり、発症を遅らせることができると発表されました。
その9つのリスク要因とは次の通りです。
- 15歳までの教育
- 高血圧
- 肥満
- 難聴
- うつ病
- 糖尿病
- 運動不足
- 喫煙
- 引きこもり
認知症の9つのリスク要因についてはこちらの記事に詳しく書かれています。
認知症を予防するには
運動
認知症を予防するのに1番良い方法と考えられているのは有酸素運動です。
有酸素運動の方法と、なぜ認知症によいのかについてはこちらの記事にまとめました
こちらの記事では雨の日でもできるトレーニングを紹介しています。
睡眠
睡眠は脳のメンテナンスの時間。きちんと睡眠をとることによって認知症予防にもつながります。
食事
アルツハイマー病の発症率を53%も下げた食事療法「MIND食」の紹介と、実践するための提案をしてみました。
難聴
難聴も認知症のリスク要因に含まれています。
聞こえを補ってくれる補聴器ですが、なぜか高齢者は使うのを嫌がられる方も多くみえます。
なぜ補聴器が嫌なのか、そして耳の遠くなった家族とのコミュニケーションの仕方についてこちらの記事にまとめました。
うつ病
腰が痛い、頭が痛いとよく言ったり、何かのきっかけで老人性うつを発症することもあるようです。
うつ病をそのままにしておくと認知症を引き起こすきっかけになりかねません。
老人性うつ病と認知症の違いと、家族の接し方、病院へ連れて行く方法などはこちらの記事にまとめました。
歯周病
歯周病も認知症の原因となることが最近の研究で分かってきました。
歯周病の怖さを知り、予防するための歯のお手入れの仕方についてこちらの記事に書かれています。
心掛け
認知症を予防するために日頃から気をつけて頂くこと5つをこちらの記事に書きました。
脳に直接アプローチ
認知症を予防するには、脳そのものをトレーニングすればよいのでしょうか?
脳トレについて言語聴覚士の視点から、どのようにやったら効果が高くなるのか考えてみました。
実際に脳トレアプリ(Lumosity)を使ってみました。
記憶の中枢海馬(かいば)を鍛える方法についてはこちらの記事にまとめました。
認知症の方との接し方
医療スタッフ、介護者向けではありますが、「ユマニチュード」という認知症ケアの方法があります。
認知症の方と接する方には参考になる考え方と思います。
まとめ
・認知症とは、日常生活に支障をきたすほど、記憶力、判断力など認知能力が低下してしまった状態のことを言います。
・認知症は脳内に異常なたんぱく質が溜まる病気によって発症します。
・認知症の症状は中核症状と心理・行動症状の2つに分けて考えます。家族や介護者が困るのは心理・行動症状です。
・認知症を引き起こすリスク要因は9つあります。
・認知症を予防するためには、有酸素運動、睡眠、食事などを見直す必要があります。
医学が進んで、近い将来認知症の治療薬が開発されるかもしれません。
でもそれが自分たちの時代に間に合うかどうかは分かりません。
自分の健康は自分で守ることもとても大切なことなのではないでしょうか。
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