摂食・嚥下のメカニズム2 準備期と口腔期の問題点とその対処法

      2017/08/30

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摂食・嚥下は5段階に分けて考えることができます。

  1.  先行期
  2.  準備期
  3.  口腔期
  4.  咽頭期
  5.  食道期

ここでは2準備期と3口腔期について、問題点とその対処法を説明します。

 

準備期・口腔期とは

口の中に取り込んだ食べ物を歯で噛んだり、舌と上あごで押しつぶしたりして細かくし、唾液とよく混ぜて、飲み込みやすいようにひとまとまりにするのが準備期です。

ひとまとまりになった食べ物を食塊(しょっかい)と言います。

この時に、味や食感を感じます。

そして準備期でできた食塊をのどに送り込む段階を口腔期と言います。

 

準備期と口腔期の問題点

歯の問題

歯でしっかりとかんで、食べ物を細かくすることを咀嚼(そしゃく)といいます。

歯が無いと咀嚼できません。

入れ歯でももちろん大丈夫ですが、その場合はきちんと適合している必要があります。

誤嚥性肺炎などで長期間口から食べていないと、その間に歯茎も痩せてしまって、それまで使っていた入れ歯が合わなくなってしまうこともあります。

食事が開始になるときには、入れ歯の適合を確認しましょう。

口唇の問題

脳血管疾患の後遺症で口唇に麻痺が出る方がいます。

半身麻痺の場合手足の麻痺と同じ側に口唇も麻痺が出ます。

顔面神経麻痺の場合は損傷した神経と同じ側の麻痺が出ます。

麻痺があると口唇をしっかり閉じることが難しくなるため、咀嚼している間に、食べ物がこぼれたりします。

舌の問題

脳血管疾患の後遺症で舌に麻痺がある場合や、癌などで摘出術をした方、放射線治療をした方は、舌の運動障害が出ることがあります。

固いものが押しつぶせなかったり、食塊を作ることができなかったりします。

その結果、頬と歯の間や下の歯の裏に食べ物が残ることがあります。

 

口蓋垂(のどちんこ)の問題

口を開けてのどの奥、一般的に「のどちんこ」と言われる部分は、食べるときにとても重要な役割を果たします。

ここも脳血管疾患などの後遺症で運動障害が出ます。

口腔期で食塊を送り込むときに、のどちんこが挙上して、鼻腔をふさぎ、食塊が鼻の方へ逆流するのを防ぎます。

麻痺でのどちんこが十分に上がらないと、食べ物が逆流したり、食事中に鼻水が出たりします。

その他の問題

口の中が汚いまま、食べ物が入ってきても、味や食感を感じにくく、さらに次のゴックンという反射が起こりにくくなります。

味が分からないと食べる気力も落ちてしまうことがあります。

 

その対処法

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食事前に口の中をきれいにする

先行期でも説明しましたが、食事の前に口の中をきれいにすることは準備期、口腔期に関しても有効です。

口をゆすいだり、自分でできない場合は介助者が拭いてあげてください。

この時に舌はあまりごしごしこすらないほうがいいです。

舌の表面には味覚細胞があります。

あまり強い力でゴシゴシこすってしまうと、味覚細胞を傷つけてしまう恐れがあります。

優しく、スポンジで拭くようにしましょう。

 

入れ歯の確認をする

1週間以上口から食べておらず、その後食事を再開する場合には、入れ歯がきちんと合うかどうか確認しましょう。

入院している場合は看護師や言語聴覚士、歯科衛生士にお願いすることもできます。

家族で確認される場合は、入れ歯をはめて、カチカチと嚙み合わせてもらい、入れ歯が落ちてきたり、動いたりしなければ大丈夫です。

もし合わない場合は、無理に入れ歯を入れて食べるのではなく、食べやすい食事形態に変更することを勧めます。

不安であれば、看護師や言語聴覚士に相談してください。

 

口の体操をする

口唇、舌、ほほ、口蓋垂(のどちんこ)の麻痺に対しては、口の体操もとっても良いです。

  • 頬をふくらます
  • 口唇をすぼめる(ウの口の形)⇔引く(イの口の形)
  • 舌を前に出す・左右に動かす・上下に動かす

などがあります。

自分でできない場合は、介助者がマッサージとして実施することもできます。

食事形態を工夫する

患者さん本人の力ではどうにもならない場合、食べる食事の形態を変更してみましょう。

入れ歯がないのであれば、あまり咀嚼の必要のない場合や、口の中で食塊を作ることが難しい場合はミキサー食にすると食べやすくなります。

患者さんの食べる力が回復してきたら、少しずつ形態を形のあるものへ変更していきましょう。

 

まとめ

ほんのわずかに舌が動かしにくいだけでも、いつものように食べることが難しくなります。

健康な人にはなかなか想像がつかないかもしれません。

それでも、食事はとらなくてはいけません。

はじめのうちは、患者さんの能力に合わせて、食事形態や環境を整えて、しっかり食べられることを目標にしましょう。

食べることそのものもリハビリとなります。

次は摂食嚥下の5段階 咽頭期と食道期について説明します。

 

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 - 摂食・嚥下の基礎