落ちベロとは?言語聴覚士が伝える、原因とさらに効果UPの改善法

みなさんは、「落ちベロ」って聞いたことがありますか?

最近、健康系のテレビ番組でよく「落ちベロ」が取り上げられています。

その原因、Xにあり!(フジテレビ2017年12月16日放送)

名医のTHE太鼓判! (TBS 2018年2月19日放送)

落ちベロがあると、食べ物をつまらせたり、食べているときにむせやすかったり、さらには誤嚥性肺炎を引き起こす危険があるというのがほとんどの番組の内容でした。

そしてその落ちベロの改善法も一緒に伝えられていました。

 

実際に番組を見させていただいて、飲みこみの専門家である言語聴覚士として、少し情報を補足したほうがより皆さんに理解していただけるのではないか、と思いこの記事にまとめました。

また、落ちベロの改善法も番組内で紹介されており、それも非常に効果的だとは思うのですが、それを行う時に気をつけて頂くことでさらに効果を上げることができるコツもお伝えしたいと思います。

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落ちベロについて

落ちベロとは?

皆さん、お口をつむってください。

その時、舌はお口の天井にくっついていますか?

 

何もせず、口を閉じているときには舌は上あごにくっついているのが正常の位置です。

しかし、舌の先だけが歯にくっついていたり上あごと舌の間に空間があるようだと、舌の力が弱くなっている可能性があります。

舌が正常の位置から落ちてしまっているこの状態のことをテレビ番組内では「落ちベロ」と呼んでいるようです。

専門用語では低位舌(ていいぜつ)と呼ばれます。

 

落ちベロの原因

落ちベロの原因としては2つ考えられます。

  • 筋力の低下
  • 口呼吸

 

筋力の低下

舌も筋肉でできています。

なので、年齢とともに筋力が衰えることによって、落ちベロになる可能性があります。

口呼吸 

鼻の疾患などがあって鼻で呼吸することができない人、生まれつき口呼吸の人、口で呼吸することが癖になってしまっている人は落ちベロになっていることがあります。

後でも詳しく説明しますが、落ちベロが原因で口呼吸になる場合もあります。

どちらが原因なのかというのは、その人によると思いますが、落ちベロと口呼吸が相互に悪影響を及ぼしているのは間違いなさそうです。

 

 

なぜ落ちベロだといけないのか?

飲みこみの問題

舌は口の中でたくさんの役割を果たしていますが、その中でも重要な役割は、食べ物を食べるときの噛む運動と送り込み運動です。

 

食べ物を口の中に取り込んでもぐもぐと咀嚼をしている間、舌、とくに奥の方はのどに食べ物が入っていかないようにしっかり力が入りバリアを作っています。

わずかな水分でも漏れないようにしっかりガードしているのです。

これが、舌の力が弱いとこのガードから食べ物や水分が漏れてしまい、飲みこむ準備のできていないのどに食べ物が入り込み、むせてしまうのです。

また舌は咀嚼した食べ物をひとまとまりにして、勢いよくのどに送り込むことによって、その刺激で気管の蓋が閉まり、食道の入り口が開く仕組みになっています。

しかし、舌の力が弱いと、ひとまとまりにしたり、勢いよく送り込むことが難しく、のど元に食べ物のカスがのこってしまって、それが原因でむせてしまうのです。

 

食べるときにむせることも苦しいですが、一つ間違えば、気管に食べ物を詰まらせてしまう窒息の危険もありますし、少量ずつでも気管に入ってしまう誤嚥を繰り返していると、誤嚥性肺炎を引き起こす危険もあります。

 

飲みこむメカニズムについては摂食・嚥下の5段階で考えると分かりやすいです。こちらの記事を参照してください。

誤嚥性肺炎についてはこちらの記事をご覧ください

 

口呼吸になる

舌の力が弱くなり正常の位置から落ちた状態になってしまうと、口を閉じていることも難しくなります。

自然と口で呼吸するようになります。

人間は本来鼻で呼吸するメカニズムになっています。

鼻は入ってくる空気を加湿し、温める役割を担っています。

また鼻の粘膜には鼻毛がはえており、異物や細菌、ウイルスなどが体内に入らないような仕組みになっています。

しかし口で呼吸していると、取り込んだ空気は冷たいままで肺まで入ってしまい、肺に負担をかけてしまいます。

さらに口で呼吸をしていると口が乾燥してしまいますし、細菌やウイルスを取り込んでしまう可能性が高まります。その結果、風邪やインフルエンザなど感染症にかかりやすくなってしまいます。

口が乾燥してしまうと、食べ物がのどを通りにくくなり、飲みこみにくくなってしまいます。

また口臭、歯周病の原因にもなります。

 

いびき、睡眠時無呼吸症候群

舌の力が弱い落ちベロの方が、夜眠るときに仰向けになると、舌がのどの奥のほうに落ち込んでしまいます。

舌は見た目は薄い小さな筋肉と思われがちですが、付け根のところを見るとかなり大きく重い筋肉になります。

舌の力が弱いため重力に負けて落ち込んでしまうのです。

こうなると、寝ている間にはいびきをかきます。

さらにひどくなると、気道を塞いでしまい、睡眠時無呼吸を引き起こすこともあります。

 

滑舌が悪くなる

私たちがおしゃべりをするときにも舌は複雑に動いています。

日本語の音は、舌先を細かく動かして音の違いを出すため、舌の力が弱くなると、発音がしっかりできなくなったり上手く舌が回らなくなったりします。

 

受け口、歯並びが悪くなる

通常上の歯と下の歯の嚙み合わせは、上の歯が前になるのですが、落ちベロになると、常に下の歯を舌で押している状態になるため、下の歯が上の歯よりも前にでる受け口になってしまうことがあります。

また、歯並びも悪くなってしまうことがあるようです。

参考:http://www.sbc-dental.com/

 

高齢者の場合認知症の誘因にもなる

NHKの番組では、落ちベロが認知症の誘引になるのではないかとも紹介されていました。

落ちベロになると、食べ物が食べにくくなり、しっかり食事を取ることができないため体力が落ちてしまいます。

体力が落ちてしまうと、体を動かしたり、外に出かけたりする機会が減ります。

そうすると、必然的に家の中に引きこもってしまうようになり、変化が乏しく、刺激のない生活になってしまう可能性があります。

もちろん、3世代が一緒に暮らすような大家族でにぎやかな家の場合は大丈夫かもしれませんが、夫婦二人のみの生活や一人暮らしの方の場合では、落ちベロが認知症を引き起こすひとつの誘引になる可能性もあります。

また、落ちベロによって、ことばが話しにくくなったり、話しても聞き取ってもらえないことが多くなると、自分から話をしようという意欲がなくなってしまい、人と接することを避けてしまう方もいるかもしれません。

認知症は様々な要因によって進むので、落ちベロだからと言って必ずしも認知症になるわけではありませんが、認知症を進行させる一つの誘因になる可能性はあります。

参考:http://www.nhk.or.jp/ohayou/

 

認知症のその他のリスク要因についてはこちらの記事をご覧ください。

 

落ちベロの改善法

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落ちベロは舌の筋力の低下が原因で起こることが多いので、逆に舌の筋肉トレーニングをすることで、舌の筋力を維持したり、向上させることができます。

 

「その原因Xにあり!」や「名医のthe太鼓判!」では舌鳴らしの運動や、舌の体操、あいうべ体操などが紹介されていました。

もちろん、テレビで紹介されていたようにやるのも良いと思います。

でも、言語聴覚士の視点から、さらに効果的なやり方をここではお伝えしたいと思います。

 

口の体操、舌の体操ですが、1つ気をつけて頂きたいことがあります。

それは、動く範囲いっぱいで運動すること。

舌を前に出す運動であれば、もうこれ以上出せないというところまでしっかり出します。

舌を左右に動かすのであれば、口唇の角でもいいですが、頬を内側からしっかり押したり、一番奥の歯を触るくらいまで動かすともっと効果が上がると思います。

 

動く範囲いっぱいで運動するときには、速いテンポでやってしまうと、充分な範囲で動かすことが難しくなると思います。

動かすテンポはゆっくりでも構いません。

その代わり、丁寧に運動するようにしましょう。

 

また舌を出したまま5~10秒間そのままキープするのもとても効果的です。

頬の内側から押すのも、左右5~10秒ずつキープするのも良い方法です。

 

まとめ

・何もせず口を閉じているときに、通常の位置よりも低い位置に舌が落ちてしまっている状態を落ちベロ(低位舌)と言います。

・落ちベロの主な原因は舌の筋力の低下です。

・落ちベロは次のような悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 飲みこみの問題…食べるときに飲みこみにくい、むせる、窒息・誤嚥性肺炎の危険性
  • 口呼吸
  • いびき、睡眠時無呼吸症候群
  • 受け口、歯並びへの影響
  • 認知症の誘因

・落ちベロは舌のトレーニングで改善する可能性があります。動く範囲いっぱいまでしっかり動かすことが重要です。

 

 

 
 
     
 

 

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