胃ろうをつくるとどのくらい生きられるのか?途中でやめることはできる?

   

何らかの原因で口から食べられなくなって、他の栄養を摂る手段を考えなくてはならない場合、選択肢の一つとして胃ろうがあります。

選択するにあたって、実際に胃ろうをつくるとどのくらい生きられるのか、また、途中で胃ろうをやめることはできるのか、ということも情報として知りたいところではないでしょうか?

この記事では胃ろうをつくる目的別に、胃ろうをつくった後のことについてお伝えします。

胃ろうとは

何らかの原因で口から食べることが出来ない場合の栄養を摂る手段として、胃に直接穴をあけて、短い管を通し、その管に液体の栄養剤を注入することを言います。

胃ろうをつくるときには内視鏡下で行う手術をします。

その手術のことを経皮内視鏡的胃ろう造設術Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)と言い、医療現場ではその頭文字をとってPEG(ペグ)と呼ばれることもあります。

 

胃ろうをつくる目的

口から食べられなくなった場合に栄養を摂る手段の選択肢の一つとして胃ろうをつくるわけですが、その目的は大きく2つあります。

 

  • リハビリ目的としての胃ろう
  • 延命治療としての胃ろう

 

この目的によって、胃ろうをつくった後の状況が違うので、目的別に説明したいと思います。

 

 

リハビリ目的としての胃ろう

主に脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の後、摂食・嚥下障害の後遺症が残り、現状では十分な栄養が取れる量を口から食べることが難しい場合、もしくは食べられるようになるまでに2週間以上かかりそうな場合は、一時的な栄養摂取の手段として胃ろう造設される場合があります。

 

この場合は、鼻チューブで栄養を摂る場合や、点滴で栄養を摂る場合と比較して、胃ろうの方がメリットが大きい場合が多いです。

詳しくはこちらの記事をご覧ください 

 

 

胃ろうをつくったあと、胃ろうから栄養をしっかり摂り、摂食・嚥下のリハビリを行うことによって、口から十分な量を食べることが出来るようになれば、胃ろうから栄養を注入する必要はなくなります。

安定して、食べられるようになれば、胃ろうのチューブは抜くことが出来ますし、チューブを抜いた後、穴は自然と塞がります。

もちろん、きちんとケアをすれば胃ろうのチューブを残したままにすることもできます。

普段は口から食事をとっていても、時に、食欲のない時もあります。

胃ろうのチューブを残しておくと、そのような時に胃ろうから栄養を注入することができます。

また、夏場の脱水症対策に、水分だけ胃ろうから注入できます。

 

嚥下障害のリハビリについてはこちらの記事をご参照ください 

 

 

 

延命治療としての胃ろう

高齢で脳卒中の後遺症や、認知症(もしくはその両方)の影響で口から食べられなくなり、リハビリで食べられるようになるのは難しいと判断された場合、できるだけ命を長らえさせるために胃ろうを造設する場合もあります。

 

胃ろうでどのくらい長く生きることができるのか?

どんなに医療が発展しても、人の寿命は予測できません。

延命治療として胃ろうをつくっても、胃ろうにも誤嚥性肺炎、胃食道逆流などのリスクはあります。

また胃ろうとは関係なく、他の疾患の発症などで命が絶たれる場合もあります。

逆に、何のトラブルもなければとても長く生きられる方もいます。

私の経験では5年以上胃ろうだけで生きられた方もありました。

胃ろうでどのくらい長く生きられるのかというのは、その人の生命力によるところが大きく、はっきりと何年と言い切れるものではないと思います。

 

胃ろうからの栄養注入を中止する場合

胃ろうを造ると1日3回、その方の必要栄養量に合わせた量の栄養剤が注入されます。

しかし、全身状態によっては胃ろうからの栄養剤の注入を中止する場合があります。

例えば、誤嚥性肺炎尿路感染症などで熱が上がった場合は、全身状態がおさまるまで胃ろうからの栄養注入は中止されます。

状態が落ち着いたら、また再開されます。

人によっては胃ろうで注入された栄養剤が、胃から食道に逆流し、それを誤嚥する場合があります。

一度胃に入った栄養剤は胃液と混ざり、それを誤嚥すると肺に重篤な炎症を引き起こし、最悪の場合死亡することもあります。

この場合は、胃ろうからの栄養注入が難しいと判断され、胃ろうを使うことを断念しなければならないこともあります。

 

胃ろうからの栄養注入を途中でやめることはできるのか?

 

全身状態の悪化により延命効果が見込まれない、ないしは必要なQOL(人生の質)が保てなく なるなどの理由で、本人にとって益とならなくなった場合、益となるかどうか疑わしくなった場合、 AHN(=胃ろうなど人工栄養法)の中止ないし減量を検討し、それが従来のやり方を継続するよりも本人の人生にとってより益となる(ましである)と見込まれる場合は、中止ないし減量を選択 する。本人・家族から中止等の申し出があった時にも、本人の意思(の推定)と人生にとっての益という観点で判断をする。

引用元: 日本老年医学会 高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン 一部運営者による補足のための追記あり

     http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/jgs_ahn_gl_2012.pdf

日本老年医学会のガイドラインでは、「本人の人生にとって益となる」と考えられるのであれば、本人、家族からの中止の申し出によって胃ろうからの栄養注入をやめるということも判断されうると示されています。

つまり、ガイドラインに則れば、意図的に胃ろうを中止することは可能ということになります。

しかし、実際に延命治療としてはじめた胃ろうをやめるという決断をするのは、医療機関にとっても家族にとっても、とても難しい決断になるのではないかと思います。

 

まとめ

この記事では胃ろうをつくったその後のことについてまとめました。

  • 胃ろうをつくる目的には大きく、リハビリのためと延命治療のための2つがあります。
  • リハビリのための胃ろう造設は、口から食べられるようになるために一時的な栄養摂取手段として作られます。食べられるようになれば抜去も可能です。
  • 延命治療としての胃ろう目的でも、実際にどのくらい生きられるのかはその人の生命力に寄るところが大きいです。
  • 一度延命治療として始めた胃ろうを途中でやめることはガイドラインに則れば可能ですが、その決断をするのは実際にはとても難しいと思います。

 

リハビリのための胃ろう造設についてはこちらの記事を参照してください 

 

 

延命治療についてはこちらの記事を参考にしてください 

 

 


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