口から食べられなくなった時、栄養を点滴でいれるってどういうこと?

      2017/08/30

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口から食べられなくなって今後どうするかを考えるにあたり、医師から大抵次の4つの選択肢があげられるのではないかと思います。

  • 鼻からチューブを入れる
  • 胃ろうをつくる
  • 点滴で高カロリーの輸液を入れる
  • 何もしない(必要最低限の点滴だけする)

ここでは、いわゆる「点滴で高カロリーの輸液を入れる」ことについて分かりやすく説明します。

こちらの記事も合わせてお読みください

胃ろうについて ▶関連記事 胃ろうのメリット  胃ろうのデメリット

経鼻経管栄養について ▶関連記事 鼻からチューブを入れて栄養をとる

栄養を入れるための点滴

栄養を入れるための点滴は鎖骨下にある太い静脈(中心静脈)に2㎜程の径の細い管(カテーテル)を入れ、そこに高カロリー輸液を滴下で入れます。

高カロリー輸液が中心静脈に入るとすぐに心臓に入り、心臓から全身にカロリーが回ります。

栄養分が多量の血液で薄められるため、高カロリーの輸液を入れることができます。

このことを専門用語で中心静脈栄養(CV)や完全静脈栄養(TPN)と呼びます。

このブログでは中心静脈栄養で統一していきます。

普通「点滴」というと腕に針を刺すイメージがあると思いますが、これは末梢の静脈を使って主に薬剤や補液を入れる目的に行われます。

末梢静脈はとても細く、高カロリーの輸液を入れると、静脈炎などを引き起こすため、末梢静脈からは必要栄養量分のカロリーを入れることはとても難しいのです。

 

中心静脈栄養のメリット

中心静脈栄養のメリットは、点滴だけで人間が生きていくために必要な5大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミン)をすべて賄うことができることです。

胃や腸などの消化管に疾患があり、栄養が消化吸収できない場合でも、中心静脈栄養を用いることで、栄養を摂ることができます。

 

怖い合併症~中心静脈栄養のデメリット

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中心静脈栄養は様々な合併症を引き起こす可能性があります。

中でも一番怖いのは、カテーテルで感染を起こし、それが全身で炎症反応を起こす敗血症です。

高カロリーの輸液がすぐに心臓に入り、全身をめぐるのは中心静脈栄養のメリットですが、ひとたび感染を起こしてしまうと、炎症反応も一気に全身に広がってしまいます。

敗血症を防ぐためには、日々のカテーテル周囲の観察や体温の確認など、こまめな管理が重要になります。

医師や看護師による管理が必要となるため、中心静脈栄養の患者さんは施設では受け入れられにくいですし、在宅で介護する場合にも、手厚い医療サポートが必須となります。

その他の合併症としては、高血糖、肝機能障害、電解質異常、血栓性静脈炎などがあります。

 

どのような場合に中心静脈栄養を選択するか

胃を摘出してしまっていたり、消化管閉塞(イレウス)など、何らかの疾患で胃や腸を使うことができない場合、栄養を補う手段として、中心静脈栄養を選択します。

基本的に、胃や腸を使うことができるのであれば、経鼻経管栄養や胃ろうの方が選択されます。

どうしても胃ろうが作れない場合などをのぞいて、脳卒中後の嚥下障害で口から食べられなくなってしまった方に中心静脈栄養を選択されることは少ないのではないか、と思います。

中心静脈栄養は必要な栄養素を点滴だけでまかなうことができてしまうため、体力さえあれば生命活動を維持することができます。

人生の終末期に安易に選択することによって、望まない延命につながることもあります。

 

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 - 栄養を摂る手段