
2018年6月6日に放送されたためしてガッテン!では、寝たきりを防ぐ方法として今全世界で注目されている方法が紹介されました。
その方法とは、
人とつながりを持つこと!
でした。
この記事では番組の内容をまとめるとともに、言語聴覚士としての見解も一緒にお伝えしたいと思います。
人に親切にすることで炎症を抑える
カルフォルニア大学での研究によると、人に親切にすることで、体の中での炎症を抑えるという変化が見られたそうです。
血液中の免疫細胞が病原菌などをやっつけるために、炎症を引き起こしますが、その炎症が長く続くと自分自身の筋肉や血管にダメージを与えてしまいます。
その結果、筋力が衰えたり、動脈硬化から脳卒中や心筋梗塞などの病気になったり、最終的には寝たきりになってしまいます。
しかし、「人に親切にする」という行動を1日3回したグループは、「世の中の役に立つことをする」グループ、「自分がうれしいことをする」グループに比べて、体内の炎症が起こらなくなったのです。
カルフォルニア大学のスティーブ・コール教授によると、これは人と協調し合うことでしか生き伸びることができなかった人類の進化の過程の影響だと考えられているそうです。
動脈硬化についてはこちらの記事をお読みください。
脳卒中についてはこちらの記事にまとめました。
「人とのつながり」が寝たきりを予防する
老後に寝たきりにならないためには、運動をすることや、生活習慣病の予防、お酒を控えることなどがイメージとして浮かぶと思います。
ところがアメリカで発表された研究によると、何よりも「人のつながり」が長生きへの影響力が強いということが明らかになったそうです。
日本での研究でも運動よりも人とのつながりが寝たきりを予防するという結果が出ています。
前項で述べた「人に親切にする」ということも、「人と直接つながりを持つ」ことが前提でできること。
人とつながりをもち、親切にすることで、体の中には炎症を抑えるという変化が見られ、データとしては長生きする可能性が高いということが明らかになったということだと思います。
運動好きのご主人と、社交的な奥様のご夫婦の例が番組では取り上げられていました。
意外や意外、運動嫌いの奥様よりも毎日運動しているご主人の方が寝たきりのリスクが高いと判定されており、ゲストもビックリでした。
言語聴覚士が感じる人とのつながりの大切さ
私は言語聴覚士として、言語障害のある方のリハビリの仕事をしています。
入院中リハビリを受けて頂いて、その方が退院される時には必ず「外に出かけて人と接するように」とお伝えしています。
ことばに障害があると、上手くしゃべれないということがネックとなり、人と出会うことを避けてしまう方が少なからずおられます。
特に男性の方に多いです。
しかし、ことばは実際におしゃべりしなければ、言語障害は改善しません。
逆に家に引きこもってしまい、ことばを使うチャンスが減ってしまうことで、せっかくリハビリで良くなってもまた悪くなってしまうこともあります。
逆に、重い言語障害があっても、社交的で物おじせずに人と接する人は、改善のスピードが速い方が多いです。
経験上「人とのつながりの大切さ」は感じていましたが、今回番組で寝たきり予防にもつながるというデータを見て、自分が実際に患者さんの様子から感じていたことは間違いはなかったのだと確信を強めました。
また、人と会い、人とおしゃべりをすることで、脳も活性化され、認知症予防にもつながると思います。
一人よりは、大勢でワイワイやることが1番と番組に出演されていた東京大学飯島勝矢教授の笑顔がとても印象的でした。
認知症予防のための心掛けのひとつに「コミュニケーションを大切にすること」を挙げました。
現代は「人とのつながり」を作りにくい
番組内でも話題になっていましたが、今の時代で人とのつながりを作りにくいのは高齢者だけではないようです。
今は、インターネットやSNSで簡単に人とつながってしまう時代。
実際に会って、おしゃべりをするということが少なくなってきているのかもしれません。
子どもたちはみんなで集まっても、それぞれにゲームに夢中になっていることがあります。
カップルや友達同士で食事にいっても、それぞれにスマホに夢中になってしまっている光景をよく見かけます。
高齢者だけではなく、どんな世代でも、「人とのつながり」のあり方を一度見直してみる必要があるのかもしれないと感じました。
番組の詳しい内容はためしてガッテンのホームページに記載されています。
そこには東京大学飯島勝矢教授が考案された「人とのつながりチェックシート」も載せられています。
人と接するのが苦手・1人が好きという人は
- 番組で紹介された「人とのつながりチェックシート」で点数が低かったという人。
- なかなか集団の中に入っていきにくくて、仲間がいないという人。
- そもそも人付き合いが苦手という人。
中にはそんな人もたくさんいるのではないかと思います。
そしてこういう番組をみて、
自分は人付き合いが苦手だから、将来寝たきりになってしまうんだ!
と思ってしまっている方もいるかもしれません。
誤解しないでほしいのですが、番組では人とのつながりが寝たきり予防になるとは言っていても、人とのつながりがない人が必ず寝たきりになるとは言っていません。
寝たきりを予防する方法というのは、他にもたくさんあり、そのなかでも予防の効果が高かったのが「人とのつながり」だっただけで、他にも運動をしたり、食事に気をつけたりすることで寝たきり予防は可能です。
そして、苦手であれば、無理に人付き合いするのではなく、他の方法で寝たきり予防すればいいだけのこと。
もし、この番組を見て、「人とのつながりを大切にしてみようかな」と思うのであれば、それはぜひ挑戦してみて頂きたいと思います。
番組の中では、週1回人と会うだけでも体が衰えにくくなると紹介されていました。
できる範囲で挑戦してみるとよいかもしれませんね。