
認知症患者の増加は日本だけではなく、世界中で年々増加しています。
いま4700万人の認知症患者がいるそうですが、2050年には1億3100万人に達する可能性があると推測されています。
認知症予防は日本だけではなく、この地球上での大きな課題となっています。
そんな中、2017年7月16日ー20日にロンドンでアルツハイマー病国際会議Alzheimer’s Asssociation International Conference(AAIC)が行われました。
そこで、認知症のリスク要因に早い段階から対応することで、世界の認知症症例の1/3以上が予防可能である可能性があると発表されました。
そして、認知症を発症するリスクの中でも、自分の生活習慣を見直すことで防ぐことができる要因9つが挙げられました。
その9つの要因についてお伝えしたいと思います。
9つのリスク要因
認知症を防ぐために対処しなければならないリスク要因は次の9つです。
- 15歳までの教育
- 高血圧
- 肥満
- 難聴
- うつ病
- 糖尿病
- 運動不足
- 喫煙
- 引きこもり
1. 15歳までの教育
日本では中学校までは義務教育とされているため、学校に行けない子どもは少ないのかもしれませんが、ユニセフによると、世界中の子ども11人にひとりが学校に通えないというのが現状なのだそうです。
将来高齢者になってからの認知症が、子どもの教育の有無に影響を与えるというのは少し驚くことでもあります。
しかし、一番脳の知識量が増える時期にそれにふさわしい教育がなされないと、それ以降に脳の知識量を増やすことが難しいからなのかもしれません。
2. 高血圧
高血圧は今や日本人の国民病とも言えます。
脳出血や動脈硬化の引き金となる高血圧は認知症のリスク要因にもなります。
3. 肥満
肥満についてはこちらの記事をご確認ください。
4.難聴
今回このレポートで、難聴が認知症のリスク要因になるとはじめて知りました。
確かに、耳が遠くなれば、耳から入る刺激の量が減ってしまいます。
また、人の話が良く聞こえないため、人と話をすることが億劫になってしまったり、人と会うことを避けてしまうこともあるかもしれません。
難聴の方の中には、人の話についていけず、孤独感を感じられる方もいます。
難聴に対しては、早期から聞こえに対する対処と、家族の配慮が必要なのかもしれませんね。
難聴についてはこちらの記事も合わせてお読みください
5. うつ病
心の風邪ともいわれるうつ病。誰でもかかる可能性はあります。
何もかも気力をなくしてしまう状態なので、脳に新しい刺激が入りにくくなりますので、それが長期間にわたるようだと、認知症のリスク要因となってしまう可能性があります。
あまりに薬に頼りすぎるのはおすすめしませんが、心療内科などの診察を受け、一次的に薬を処方してもらうというのも、うつ状態からの脱出のきっかけになるかもしれません。
老人性うつ病についてはこちらの記事に詳しく書かれています。
6. 糖尿病
血液がドロドロになってしまう糖尿病。もちろん脳内の血流も悪ければ脳の働きも低下しやすくなります。
糖尿病についてはこちらの記事を参考にしてください。
7. 運動不足
有酸素運動が認知症予防になることについてはこちらの記事に詳しくまとめました。
8. 喫煙
かつて禁煙がアルツハイマー型認知症予防になるという説が広まったこともあるそうですが、現在は否定されています。
喫煙は動脈硬化を引き起こし、脳梗塞の原因にもなります。
また、喫煙者だけではなく、煙によって周囲の人たちにも悪影響を及ぼしてしまうので注意が必要です。
9. 引きこもり
人との関わりを持たず、家の中で過ごす時間が多い方の場合は、運動不足になることはもちろん、脳に入る刺激も少なくなります。
【ためしてガッテン】でも寝たきり予防には「人とのつながりが大切」という内容で放送されていました。
まとめ
これらの9つの要因、あなたには心当たりがあるものがありますか?
子どものころの教育が将来の認知症リスクに影響するということは、これらのリスク要因を踏まえて日頃の生活習慣を見直すのは、いつ始めても早すぎるということはありません。
自分が自分でなくなってしまう認知症。
早めに対処して認知症を予防できれば、つらい思いをする本人、そのご家族を減らすことができます。
そして、人生最後まで自分らしく生きられる人が増えます。
社会的損失を減らすことができますし、医療費、介護費を大幅に減らすことができます。
レポートの中でも、すべての認知症が予防できるわけではないと言われています。
でも、リスク要因をうまくコントロールすることによって、認知症の発症を1年遅れさせることができれば、2050年に世界で認知症にり患している人口を900万人減少させる可能性とも言っています。
これを機会に、今、ご自分の生活習慣を見直してみてはいかがですか?
▶この記事は以下の資料を参考にまとめました。The Lancet Commission: One Third of Dementia May Be Preventable 予防できる認知症、9つの要因-NEWS JAPAN
認知症について書かれた記事はこちらにまとめました。